2022.12.09WATCH REPAIR

カルティエタンクのメッキのメッキ???

お陰様で当店の変色取り修理や再メッキ修理は全国の方からご依頼をいただき、皆さんがその出来上がりの美しさに感動され、とても好評をいただいております。

当店への修理品の中に明らかにメッキが薄く、すぐに剥げてしまっている・・・というカルティエのタンクがたまに送られて来ます。

このような場合はお依頼主に「このカルティエタンクは新品でお求めになられましたか?」と質問をいたします。
ほぼ100%が「いえused品(中古品)で買いました」と返答が返って来ます。

下のカルティエタンクがそのような事例となります。

メッキが薄いカルティエタンクの本体ケース

タンクの場合のメッキの剥がれは四隅の一部が剥がれて、その他の大半の部分はしっかりメッキが残っています。
この写真のように薄っすらと全体のメッキが剥がれるようなことはありません。
このような現象は過去にメッキが剥がれたタンクを研磨でメッキを落として、再びメッキをしたという証となります。

当店もこれまで全国のあちこちのメッキ工場でメッキの厚みの交渉をいたしましたが、日本のメッキ工場でされているメッキは0.8ミクロン以下のメッキをする工場が多いようです。
このカルティエはおそらく0.8ミクロンは無いように思えます。

メッキの厚みは専門的に測ることが出来るそうですが、当店ではバフ研磨をすることで、経験的にメッキの厚みを知ることが出来ます。0.8ミクロン以下の場合はバフを当てるとあっという間に金色が取れてしまいます。1ミクロンあれば少しの時間は艶出しのバフ研磨に耐えることができます。

メッキが薄いカルティエタンクの裏蓋

こちらが裏蓋となります。よく見ると両端のメッキが取れて真ん中全体は金色が残っています。
これは研磨をする時に裏蓋の刻印を薄くさせないように、多少の打ち傷は残して、あまり研磨をしないからです。この真ん中全体のメッキは新品の時の最初からのメッキということになります。
前回に作業をされたどこかの修理店もそのようにされたのだと思います。

研磨をしたカルティエタンクのパーツ

さて、いよいよ当店の研磨と再メッキに入ります。当店では本体ケースは研磨で鏡面に、裏蓋はサイドは鏡面、裏蓋全体はヘアライン仕上げをしながら小傷を取ります。この裏蓋は最初からの厚いメッキなのでヘアライン仕上げをしても金色が残っています。
ここから再メッキの工程へと進みますが、当店の再メッキは厚い5ミクロンのメッキを行います。この5ミクロンの厚いメッキをする修理店は他にはほとんどないと思います。

5ミクロンのメッキをしたカルティエタンクの表面

5ミクロンの厚いメッキをして、時計を組み立てました。この写真をご依頼のお客様にLINEでお送りすると「見た目に厚いメッキだということが分かります。とても綺麗で感動しています」とのお返事をいただきました。皆さんも感じられると思いますが、厚いメッキはその質感が違います。

5ミクロンのメッキとヘアライン仕上げをしたカルティエタンクの裏蓋

こちらがヘアライン仕上げをして5ミクロンのメッキをした裏蓋です。ヘアライン加工をしたので擦り傷などの小傷が取れて、とても美しくなっています。

【修理料金】
外装研磨仕上げ・5ミクロン再メッキ 33,000円(税込)
往復の送料は無料です。
※2024年2月価格改定

□■□■□■時計修理料金改訂のお知らせ□■□■□■
2024年2月1日より時計修理料金を改定させて頂きます。
詳しくは下記をご参照ください。
-時計修理料金改定のお知らせ-

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