2021.02.15WATCH REPAIR
カルティエのマストタンク ヴェルメイユです。この時計の裏蓋には「925」そして「PLAQUE OR G 20M」という刻印が入っています。これはシルバー925の素材に20ミクロンの金貼りで(ヴェルメイユ)を施してあります。ということを意味しています。しかし、このカルティエのヴェルメイユはしばらく使わずにいると黒く変色するという欠点があります。またヴェルメイユは金張りなので剥がれることがあります。このカルティエ・マストタンクは真っ黒に変化してヴェルメイユの剝がれもあるようです。ここまで黒く変色をするのはかなりの年数を放置していたのだと思います。
それではベルトを外して新品仕上げの作業を進めていきます。
ケースは真っ黒になっていますが、ルーペで拡大して確認をするとやはり四隅にはヴェルメイユの剝がれが隠れているようです。
これは変色取りの修理だけではもとに戻らないのでメッキを施す必要があります。
裏面です。裏蓋にはシールが張ったままなので、表面よりは黒くなっている部分が少ないようです。また裏蓋だけではなくネジも黒くなっています。この裏蓋にはヴェルメイユの剥がれは無いようです。
時計を分解しました。機械を押さえるプラスチック板の破片が出てきました。このタイプのカルティエは本体横に留めネジが4本あり、このネジで機械を留めるようになっています。このネジはのプラスチック板の雌ネジ穴で止まるようになっており、ネジを回し過ぎるとプラスチック板のネジ穴が「バカ」になって効かなくなってしまいます。その結果、このように抑えのプラスチック板が割れてしまうこともあります。今回はこの破片を接着剤で戻して、ネジは緩み止め剤を使って固定することにします。
時計を分解しました。こちらが変色取りをするパーツです。本体ケース、裏蓋、本体横の留めネジ、裏蓋の留めネジです。
変色取りをした結果、やはり四隅にヴェルメイユの剝がれがあります。このマストタンクはこのように四隅のヴェルメイユがよく剥がれます。この剥がれはかなりの段差があり目立ちますのでヴェルメイユを剝がして再び18金のメッキをする必要があります。
ヴェルメイユの剝がれた下地の部分はシルバー925です。この部分はシルバーなのですぐに黒く変色してしまいます。やはり研磨で段差をなくしてメッキをする必要があります。
本体の研磨をしてヴェルメイユをすべて取り除きます。裏蓋はヴェルメイユの剝がれが無いのでヴェルメイユを剥がさずに軽くヘアラインだけを入れ、メッキをします。
18金の厚メッキを施しました。メッキをしたのですべてのパーツがピカピカになりました。あとは組み立てれば完成です。
時計の組み立てを終えました。ガラス交換はお客様にはご提案していなかったのですが、このタンクはガラスに小傷がたくさん入っているのでガラス交換(4,400円)をするとさらに綺麗になります。
こちらが裏面です。ヘアラインを修正して18金の厚メッキを施したのでとても綺麗になっています。
【修理料金】
外装研磨仕上げ・5ミクロン再メッキ 33,000円(税込)
往復の送料は無料です。
※2024年2月価格改定
ガラス交換の場合はプラス8,800円(税込)
ヴェルメイユの剝がれがなくメッキの必要がない場合は「変色取り・バフ研磨」の修理で15,400円でとても綺麗になります。
修理ご希望の方にはお近くのコンビニから当店に無料(着払い)で送ることができる「らくらく送付キット」をお送りいたします。【LINE】または【お問い合せフォーム】から「郵便番号、ご住所、お名前、お電話番号」をお知らせください。また併せてお時計の写真をお送り頂くと詳しくご説明ができますのでお気軽にご相談ください
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