2024.05.14WATCH REPAIR
ブルガリ BVLGARI の電池交換のご依頼を受けました。とても良く作られたコピー品なのでブログに書かせていただきます。
※2024.10.30 修理時に文字盤のパーツが剥がれて取れたり、針が抜けたりする危険性がありますので「現在はコピー品の電池交換や修理はお受けしておりません」
文字盤は白蝶貝(マザーオブパール)で出来ており、文字盤とベゼルにダイア(キュービックジルコニア)をあしらった豪華なデザインです。
ここだけを見ると時計店に勤めている者でも見分けはつかないと思います。
右側の裏蓋の赤丸の部分をご覧ください。緻密な刻印が正確にしっかりと入っていて、この裏面を見ただけでもコピーには見えません。刻印の正確さから時計店に勤めている者は逆に本物と信じてしまうかもしれません。
裏蓋を開けて・・・ビックリ!えっ?これはコピーなんだ!ということになります。赤丸の部分にMIYOTA JAPANの刻印があります。これはシチズンが別会社で作っている低価格用のムーブメント(機械)です。いわゆる何千円という価格で売られている時計に使われているムーブメント(機械)です。Amazonでこの機械は800円前後で売られています。
では電池交換でお預かりした際に、中の機械を見ずにプロは外見だけでコピー品だと気付くことはできるのでしょうか?
答え・・・それは可能かと思います。その理由は・・・
①裏蓋の赤丸の刻印には Au 750 18K の刻印があります。Auは金の元素記号、750は18金の品位、18Kはそのまま18金を表しています。この時計は18金で出来ているという表示です。この表示を見てから、プロがこの時計を手に持った時に「おや?軽い?」と感じます。本物の18金の時計は手に持った時にズシリと重いのです。
②18金で出来た時計の場合は表面が金色の18金の場合は裏蓋も同じ色の18金で出来ています。この時計のように表側がピンクゴールドで裏蓋がホワイトゴールドという組み合わせはあまり考えられません。表側がピンクゴールドの場合は裏蓋もピンクゴールドで出来ています。そしてステンレスの銀色とホワイトゴールドの銀色では同じ銀色でも色が違います。この時計に使われているステンレスの場合は黒味が感じる銀色です。
文字盤に付いているダイヤ(キュービックジルコニア)はフクリン留めで綺麗に出来ており手間がかかっています。
ベゼルのダイヤ(キュービックジルコニア)も爪で丁寧に留めてあります。
コピーの時計の場合は印刷がにじんでいたりしてシャープでないものが大半ですが、この時計の印刷はかなり綺麗です。
竜頭にはルビーに似せた石も丁寧に埋め込まれています。
しかし、このコピーの時計には感心してしまいます。凄いですね・・・腕にはめている状態では誰もコピー品とは感じないと思います。