2022.10.09WATCH REPAIR
時計の本体がシルバー925で、その上に厚いメッキがしてあるカルティエのヴェルメイユの時計の変色に悩んでいる方がとても多いと思います。
機種はカルティエマストタンク、カルティエマストコリゼ、カルティエマストヴァンドームなどです。特にタンクは人気があり多くの方が購入されているようです。
これらのシリーズがどうして黒く変色してしまうか?その原因のおさらいをして見ましょう。
この図で解説していますが、本体のシルバー925はそのまま放置しておくと、銀は空気中の硫化水素と結合して硫化銀となって黒く変色してしまいます。これは銀のスプーンや銀のアクセサリーが黒くなるのも同じ理由です。
カルティエのこのシリーズは素材はシルバー925ですがその上に金メッキがしてあります。金は空気中に放置しても何も変化がありませんので、表面に金メッキをしてしまえば大丈夫なような気がします。しかし実際には銀の素材から銀イオンが発生し、このイオンが金の薄膜を通ってしまうので金の表面に硫化銀となって黒く残ることになります。これがカルティエの変色のメカニズムなでです。
今回はそのタンクの変色取り修理のご依頼です。時計全体が茶色から黒色になっています。この変色した色が硫化銀です。
時計の表面です。これだけ変色していると腕にはめるのはちょっと気が引けますよね。
こちらが裏面です。表面と同じように変色しています。腕に付ければ分からないというものの、なんとか綺麗にならないものか・・・と思ってしまいますよね。
時計を分解して各パーツの変色取りしました。この本体ケースは変色取りの後にバフ研磨を掛けをしました。バフ研磨をすることにより本体ケースに付いていた細かい擦り傷が消えて綺麗になりました。
こちらが裏面の裏蓋です。こちらは変色取りの修理をした後にヘアライン仕上げをしてあります。こちらもヘアライン修正をすることで細かな擦り傷が見えなくなります。
今回のカルティエマストタンクの修理は変色取りの修理、バフ研磨、ヘアライン修正で15,400円となります。