2021.06.02WATCH REPAIR
カルティエ・タンクの再メッキ修理のご依頼です。当店に持ち込まれるカルティエの再メッキ修理はほとんどが県外からのご依頼です。今回は珍しく福井市内のお客様からご依頼をいただきました。
こちらがご依頼のカルティエ・タンクです。表面から見ると四隅が明らかにメッキ(ヴェルメイユ)が取れています。
今回のカルティエ・タンクには気になる点が2か所あります。まず1つ目は以前に時計の内部に水を入れたことがあるようです。
写真を見ていただくと文字盤の3色(トリコロールカラー)の部分が曇って汚れています。このように時計に水を入れてしまった時には1番に文字盤にダメージがきます。
時計を腕に付けていてガラスの内部が水滴で曇ったらいち早く時計店で水抜き作業を行ってください。そのまま使用すると今回のようになってしまいます。
通常は文字盤を拭いても汚れが取れませんのでそのままにしておくしかないのですが、今回はトリコロールカラーの部分が金属っぽいので特別に綿棒で軽く拭いて汚れを取りました。
2つ目は過去の修理の際に本体横から機械を留める小さな4本のネジを回し過ぎて内部のプラスチックのネジ山を破壊しています。写真を拡大すると分かるのですが4か所の部分にヒビが入って割れています。この状態ではネジが留まらずに、ただ刺さっていただけの状態だったと思います。
この裏蓋には14.06 HN のサインが入っていますのでHNさんという時計職人が2014年の6月にオーバーホールをしたのだと思います。この際に本体横のネジを回し過ぎてネジ山を破壊してバカになったようです。
もうこれは修理が出来ないのでこの4本のネジは「緩み止め剤」を付けて固定するしかありません。私もこの点は特に注意するのですがカルティエ・タンクを分解した経験が少ない職人はこのミスを起こします。ネジ穴が金属の場合はしっかり閉めればいいのですが、相手がプラスチックの場合は要注意です。
時計を分解して変色取りをして本体は研磨、裏蓋にはヘアラインを施します。
こちらが18金メッキをした状態です。当店の場合は裏蓋にメッキの剥がれが無い場合も、ケースと裏蓋が全く同じ金色になるように一緒に18金メッキをかけます。
時計を組み立てました。ガラスには細かいキズがありますが、文字盤の汚れも綺麗になりました。
ベルトを取り付けて完成です。表面、裏面ともとても綺麗になりました。これから水に十分に注意をして永くご愛用いただきたいと思います。
今回のカルティエ【Cartier】の修理料金
作業内容 : 研磨・再メッキ修理
修理費用 : 19,800円(税込)
往復の送料は無料
※2024.10.30現在、1ミクロンのメッキ修理は廃止となり、5ミクロンのメッキ修理の33,000円のみの受付となっております。
修理ご希望の方にはお近くのコンビニから当店に無料(着払い)で送ることができる「らくらく送付キット」をお送りいたします。【LINE】または【お問い合せフォーム】から「郵便番号、ご住所、お名前、お電話番号」をお知らせください。また併せてお時計の写真をお送り頂くと詳しくご説明ができますのでお気軽にご相談ください。
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