2022.02.21WATCH REPAIR
【黒く変色するカルティエ】
ヴェルメイユ(金張り)を施されたカルティエマストタンク、マストコリゼ、マストヴァンドームは長い期間放置しておくと真っ黒に変色してしまいます。
【シルバー925とは?】
これらのヴェルメイユが施されたカルティエは本体ケースと裏蓋が「シルバー925」で出来ています。シルバー925とはスターリングシルバーとも呼ばれ、銀の含有率(純度)が92.5%の割合で鋳造された合金です。シルバーはとても柔らかく、そのままでは加工や形状維持が難しい素材なので、強度や耐久性を高めるために銅などの金属を配合して使われることが多く、その中でもシルバー925は純度の高い高級な素材とされています。
【シルバー(銀)が黒くなるメカニズム】
皆さんがご存じのようにシルバー製のアクセサリーは放置しておくと黒く変色してしまいます。このシルバー(銀)が何故変色するのか?そのメカニズムは下の図の通りです。
シルバー(銀)の元素である【Ag】は空気中の硫化水素【H2S】と反応してしまう特性があります。この反応によりシルバー(銀)は硫化銀【Ag2S】に変化して黒い皮膜となってしまいます。また、温泉や入浴剤に含まれる硫黄とも反応して硫化銀になるので温泉にシルバー製品を浸すのは要注意です。
【金張りなのに何故変色するのか?】
では、ヴェルメイユ(金張り)で密閉され、表面にシルバーが見えていないカルティエマストタンク、マストコリゼ、マストヴァンドームは何故変色してしまうのでしょうか?そのメカニズムを説明したのが下の図となります。
ヴェルメイユ(金張り)をしてあるカルティエの腕時計はシルバー(銀)自体は表面に出ていません。しかし、このヴェルメイユ(金張り)の金の薄膜は銀から発せられる銀イオンを通してしまうのです。分かりやすく言うと、金の薄膜にミクロの小さなピンホールがあり、この穴から銀イオンが表に出て空気中の硫化水素と反応して硫化銀の黒い薄膜になってしまう。ということなのです。
【黒くさせないためのコツ】
① なるべく使用する。使用して表面に摩擦があると変色し難くなります。
② 使わない時は柔らかい布で拭いて表面に摩擦を起こして変色を防止する。
③ 長い間使わない時はチャック付きビニール袋に入れ、空気を抜いて保管する。
【カイドージュエリーの変色取り修理】
当店ではカルティエのヴェルメイユの時計を分解して小さなネジの1本1本まで丁寧に変色を取り去る修理を行います。
また、当店では変色を取った後に、ケースにはバフ研磨を行い、擦り傷を取り去ってピカピカにします。裏蓋にはヘアライン加工をして擦り傷を目立たなくします
上のカルティエ【Cartier】の修理料金
作業内容 : 変色取り修理 + バフ研磨の修理+ヘアライン加工
修理費用 : 15,400円(税込)
※ 往復の送料は無料です。
また、長期間ご使用になった場合はヴェルメイユが剥がれてしまうことがあります。この場合は一旦ヴェルメイユを研磨で削り落としてから再メッキをする必要があります。「変色取り修理」と「再メッキ修理」の価格、作業内容については下記をご覧ください。
当店のホームページ内のLINEのQRコードからスマホで撮影した写真をお送りいただきますと、どのプランの料金になるのかをすぐにご連絡させていただきます。