2022.02.12WATCH REPAIR
カルティエマストタンクの電池交換で時計店がミスを犯した事例です。この事例はよくある事例なのですが、修理者が安易に電池を入れずに、電池の入れる部分をじっくり観察することが必要です。
一般的なカルティエマストタンクです。
今回は電位交換のご依頼でしたが裏蓋を開けると、電池がポン!と飛び出してきました。通常なら電池の格納される箇所にしっかりと電池が収まっている筈なので、もしや?と確認すると・・・やはり電池を横から押さえるレバーを曲げてしまっています。
上記の赤丸の中にある小さな金色のレバーは横向きのL字型になっていないといけません。
電池を入れる際に電池でこのレバーを横にスライドさせながら入れないといけないのですが、単純に上から電池を入れて無理やり裏蓋を閉めると、このようなことになってしまいます。これは前回の修理者が電池交換の際にミスを犯しています。
この時計修理者はさらに電池を無理に裏蓋で押さえようとしたので、ゴムのパッキンも曲げたまま裏蓋を閉めたようです。このようにゴムが変形して固まってしまうとなかなか元通りに戻りませんのでパッキン交換となります。
この時計は上のゴムのパッキンを曲げて裏蓋を閉めたので。この曲がった部分から汚れが侵入して機械のあちこちにホコリが点在しています。
今回はこのような状態なのでオーバーホールが必要となります。この時計はお客様にご説明してからご返却となりました。