2023.06.04WATCH REPAIR
このブログはカルティエの古い時計が好きな方には興味深い投稿かもしれません。
以前、このブログで「カルティエタンクの本物?偽物?」という投稿をした時に、親切なマニアの方からお電話をいただきました。その際にカルティエタンクの詳しいお話をいただいたのですが、かなり多岐にわたる複雑な話だったのですが、大まかな話は・・・
古い時代の手巻きのカルティエタンクはニューヨークカルティエと呼ばれることがあるそうです。この時代ではパリのカルティエとは別個にニューヨークのカルティエが独自に生産をしていた時期があったそうです。
今のカルティエタンクは「銀製」という意味の「ARGETT」という刻印が入っていますが、この時代のカルティエタンクには入っていません。当店では新品仕上げ修理を承っておりますが、研磨をしてケースの下地が出てきますと、白色の銀製の物もあれば、金色のおそらく真鍮製かと思われる物もあります。
カルティエの歴史ではこの時代の古いニューヨークカルティエは「カルティエではない」という見解を示していた時代があったそうですが、最近ではシリアルナンバーがあり中の機械がカルティエ製であれば「カルティエである」という見解を示しているそうです。
では中の機械はどうなのか?というと色々な種類の機械があります。一部ですが以下にご紹介させていただきます。
また、これらの機械については本物?偽物?の見解は差し控えさせていただきます。
一番刻印がしっかりしているタイプです。
拡大したものです。「CARTIER」「17JEWELS」「SEVENTEEN」が刻印が正確にしっかり入っています。また別な箇所に「SWISS」の刻印も入っています。
こちらも刻印が多く入っているのですが字体や明確さが異なります。
拡大したものです。「Cartier」「SEVENTEEN」「JEWELS」「SWISS」の刻印が入っていますが明確さは先ほどのモデルよりはないようです。
こちらがよく見かけるタイプです。「CARTIER」「17JEWELS」が刻印がしっかりと正確に入っています。
次はこの機械です。「CARTIER」の刻印がなく「17JEWELS」の刻印と「SWISS」の刻印だけです。
拡大したものです。「CARTIER」の刻印はありませんが、機械には「ペルラージュ」という円形の凝った仕上げがされています。
こちらの機械も「CARTIER」の刻印がなく「17JEWELS」の刻印と「SWISS」の刻印だけです。
こちらはタンクとは異なり珍しい形のカルティエの中の機械ですが「17JEWELS」の刻印だけです。
こちらは歯車に「CARTIER」の文字が印刷されています。ちょっと怪しい感じですが「SWISS」や「17JEWELS」の刻印があります。
さて、皆さんは「どれが本物?」と興味があるかと思います。しかし全ての写真を見比べてください。Cartierの刻印の有る無しはあるものの、機械は全てが「17JEWELS」の17石の機械で、形も部品の配置も全く同じなのがお分かりいただけるかと思います。前出のお電話をいただいたマニアの方のお話ですと、これらの機械はCartierの刻印の有る無しに関わらず「ETA(エタ)社」という時計の機械を専門で作っているスイスのメーカーのものとのお話でした。
また、Cartierの刻印入りの機械がサビなどが酷くてオーバーホールだけでは修復が出来ない場合は、このエタ社の同じ型番の機械を入れて修理がされることがあるそうです。これが後にused品で出回った場合に、時計ケースにはシリアルナンバーがありしっかりしているのに、中の機械にはCartierの刻印が無い・・・ということがあるそうです。
当店でのこれらの手巻きのタンクのオーバーホールは33,000円(税込)となります。当店では全国からの修理の受付を行っております。あらゆるブランドのオーバーホール、外装の新品仕上げなどを承っております。このホームページ右側の「オンライン相談」からお気軽にお問い合わせください。