2024.06.18WATCH REPAIR
全国から送られてくるご依頼の修理品の中で、稀に真っ黒に変色したカルティエマストタンクが送られてきます。しかし、今回のタンクは今までで最強?いや最悪?の傷み方です。
これ、焚火の中に落として焦げたんですか?と言いたくなるような変わりようです。
えーーー!これ?直せるかな・・・というのが正直な思いでした。メッキの剥がれが確認できますし、変色で表も裏も真っ黒。文字盤には水が浸入した結果と思われる変色の汚れがあります。それより機械が動くの???
幸いに機械はオーバーホールで動くように出来そうです。あとはケースと裏蓋の研磨と再メッキです。こちらも何とか出来そうです。最後の問題は文字盤の汚れですが、この文字盤については基本は綺麗に出来ません。この文字盤については少しは綺麗になりますが、ほとんどはそのままとなります。
ここで皆さんにアドバイス!時計の大敵は水の侵入です。水が入ることにより①機械が錆びる。②文字盤が汚れて浮いてくる。③針が錆びる。です。①は軽い場合はオーバーホールで直りますが、錆が酷い場合は部品交換になります。②と③については修復が不可能で、これらは部品交換になります。いずれにせよ、水の侵入は高額な修理費用がかかりますので十分にご注意ください。
こちらが修理後の完成品です。
これ別な時計でしょ?いえいえこれがあの真っ黒だったカルティエマストタンクです。
前述のように文字盤は交換しないと綺麗になりません。この文字盤交換についてはカルティエが部品供給をしないのでカルティエのメーカー修理となります。
こちらの表記はインスタグラム用の画面なので、実際にはこの研磨・再メッキの33,000円にオーバーホールの27,500円が加算された60,500円が修理料金となります。