2024.05.06WATCH REPAIR
カルティエマストコリゼの再メッキ修理のご依頼をいただきました。
当店のお問い合わせLINEに送られてきたお客様からの画像ではメッキの剥がれが無いように見えましたので、お客様にはおそらく変色取り修理の15,400円のプランで大丈夫だということをご連絡をさせていただきました。
こちらがご依頼のカルティエマストコリゼです。おそらく長い年数に渡って放置していたのだと思います。
こちらが裏側です。こちらの裏蓋も変色が進んで真っ黒になっています。
以前にもこのブログでカルティエマストコリゼやカルティエマストタンク、カルティエマストヴァンドームが何故変色してしまうか?を書きましたが、もう一度書いてみたいと思います。
本体がシルバー925で出来た「カルティエマストタンク」「カルティエマストコリゼ」「カルティエマストヴァンドーム」はシルバー(銀)の本体にヴェルメイユという厚い金メッキが施されています。
ご存じのようにシルバー(銀)は放置しておくと黒く変色してしまいます。これはシルバー(銀)が空気中に含まれる硫化水素と化学反応をして黒い硫化銀になってしまうからです。
しかしカルティエの時計のようにシルバー(銀)を金張りや金メッキで覆うとシルバー(銀)は空気に直接触れないので大丈夫のような気がします。実は私もそう思っていたのですが、当店のある福井市の隣の鯖江市(眼鏡枠国内シェア97%)の眼鏡枠のメッキ工場の社長さんたちに伺って色々と調べてみると以下のような答えでした。
シルバー(銀)の上に金張りや金メッキで覆われていても、銀イオンはこれらの皮膜を通り抜けて表に出てきてしまうそうです。このすり抜けて表に出た銀イオンが空気中の硫化水素と反応して金メッキの表面に黒い硫化銀の皮膜を作ってしまうそうです。
当店の変色取り修理の特徴は細部にわたって完全に変色取りが行われることです。
特に裏蓋の刻印の凹みの部分は変色を完全に取るのが難しく変色を取るのに時間がかかります。また裏蓋の小さなネジ1本1本も綺麗に変色を取り除きます。
こちらが変色を取り去った後の画像です。変色を取り去った後に艶が出る作業も行います。
こちらは裏蓋です。刻印の凹みの中の変色や上下の小さなネジの変色も綺麗に取れているのがお分かりいただけるかと思います。