2021.06.06WATCH REPAIR
またまたカルティエ・マストコリゼの変色取り修理の依頼です。
今回のマストコリゼは裏蓋の留めネジが4本(通常は2本)でなかなか見かけないタイプです。製作した年代によって異なるのでしょうか?いずれにせよ4本のタイプはとても少ないと言えます。
今回のカルティエ・マストコリゼは変色もしていますが、ケースと裏蓋に沢山の擦り傷が入っており、全体が艶消し状態になっています。
変色の色は取れるでしょうが、お客様が感動するくらいに金色をピカピカに出来るのか・・・少し不安です。
時計が動いていないので、裏蓋を開けて電池交換をしてみることに。ガーン!電池からの漏液が激しく、その後も長期間放置していたので漏液の液体が乾いて粉が噴き出ています。
この粉が時計内部に侵入して歯車に付着すると時計が動かなくなってしまいます。
取りあえず表面に見えている粉末を練りゴム状の吸着剤で丁寧に取り除いて新しい電池を入れて駆動を確認します。
これで運が良ければ時計は駆動します(電池交換=2,200円)。しかし、運が悪ければオーバーホール(29,700円)が必要になってしまいます。この金額には天と地の差があります。
皆さん、このようにならないように電池が無くなって時計が止まっていたら早急に電池交換を行いましょう!
また、お客様から「長期間は使わないので電池を外しておくのはどうですか?」という質問があります。残念ながらこれもお勧め出来ません。電池を外して3年、5年と放置すると、注油してある油が固まることがあり、新たに電池を入れても動かない可能性が大です。
農業の方に聞いたのですが、田植えの機械は使用した後は翌年の田植え時期まで1年間は使わないのでメンテナンスに出さないと動かないそうです。このように機械類は常日頃から動かしておいた方が良いようです。時計も使用しなくても電池を交換しながら動かしておくのが時計の為には良いのです。
さて、このカルティエ・マストコリゼは運の良いことに表面の粉末を取り除いたら見事に動き出しました。ゼンマイを使った機械時計よりも電池を使ったクオーツ時計は歯車も少ないせいもあり、あまりオーバーホールをしなくても良いという特性があります。
時計の駆動が確認できたので分解して変色取り修理作業に入ります。
変色取り修理で黒ずみを取ってからバフ研磨をします。このバフ研磨を過度に行うとヴェルメイユ(メッキ)が取れて下地のシルバー925が露出してしまいます。この下地が出ないレベルで表面の擦り傷を取り去る・・・という感?が職人技なのです。
このカルティエ・マストコリゼはケース、裏蓋にかなりの擦り傷がありましたが、写真のようにとても綺麗になりました。
変色取り、バフ研磨の修理を終えて時計を組み立てました。裏蓋の4本のネジも変色取りをしてあるのでピカピカになってとても綺麗です。
せっかく綺麗になったので裏蓋にはキズ防止のシールを貼ります。
ベルトを取り付けて完成です。このカルティエ・マストコリゼのベルトはDバックル式ですが、Dバックルの金具も変色取り修理とバフ研磨をしてあります。
発送時にはキズが入らないようにキズ防止のビニールを巻いてお客様の元へお送りいたします。カルティエ はとても良い時計です。これからも永らくご愛用下さい。
◇綺麗になった時計を再び黒く変色させない為に…
①なるべく腕にはめて使用する。
②使わない場合は時々柔らかい布で表面をよく拭いて磨く。
この2点を心掛けてください。時計の表面に摩擦があると変色を抑えることが出来ます。
今回のカルティエ【Cartier】の修理料金
作業内容 : 変色取り修理 + 電池交換
修理費用 : 17,600円(税込)(15,400円+2,200円)
(往復の送料無料)
変色以外に時計にメッキ(ヴェルメイユ)の剥がれがある場合は「研磨・再メッキコース」の38,500円でとても綺麗になります。
修理ご希望の方にはお近くのコンビニから当店に無料(着払い)で送ることができる「らくらく送付キット」をお送りいたします。【LINE】または【お問い合せフォーム】から「郵便番号、ご住所、お名前、お電話番号」をお知らせください。またLINEやメールでお時計の写真をお送り頂くと詳しいご説明が返信できますのでお気軽にご相談ください。
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