2023.02.11WATCH REPAIR
変色して真っ黒なカルティエマストタンクの修理ご依頼です。
本来は金色のカルティエがこのように真っ黒になっています。
裏蓋には丸いシールが貼ってありますので、ここだけが金色をしています。カルティエマストタンクは素材がシルバー925で出来ているので銀イオンがメッキの幕を通り抜けて空気中の硫化水素と反応して硫化銀(黒色)となって付着し、このように色が変化してしまいます。この丸い部分はシールが貼ってあることにより空気が触れないので硫化銀とならずに変色しないのです。
時計を分解してこれから変色取りを行います。ガラスにヒビがあるのでこれは交換が必要です。
変色取りをしているとこの写真のようにメッキが剥離をしています。少し触るとパラリと剥がれてしまいます。
このメッキがパラリと剥がれる状態が実は一番危険なのです。他にも同じような箇所があるはずなのでセロハンテープであちこちをくっつけてみると・・・写真のようにメッキが簡単に剥離してしまいます。
セロハンテープで全体をくっつけて確認したのがこの写真です。これだけの箇所が簡単に剥がれてしまいました。
再メッキで出来上がりを綺麗にするには段差や傷を取り去ることが重要です。こちらは研磨とヘアライン仕上げで表面を綺麗に整たものです。
厚い5ミクロンの18金メッキをして綺麗に蘇りました。本体ケースに付いていた擦り傷などは無くなって鏡のように綺麗です。また裏蓋もヘアライン仕上げで擦り傷が無くなっています。
元のベルトを取り付けて完成です。これでこれから安心して使うことが出来ます。また、今後は真っ黒にならないような使い方も大切です。黒くさせない為のコツは以下をご覧ください。
今回のご紹介したカルティエのタンクの変色取り、再メッキの修理は27,500円となります。
また今回は別途にガラス交換4,400円をしております。