2026.06.02WATCH REPAIR
カイドージュエリーのブログへようこそ。 今回は、世代を超えて愛され続けるタイムレスな名作「カルティエ・マストタンク」の再メッキ修理事例をご紹介します。
カルティエの「マストタンク」には、シルバー925(純銀)の地金に18金を厚く重ねる「ヴェルメイユ」という独自の技法が用いられています。 独特の深みがあるゴールドを楽しめる反面、日常の使用でどうしても擦れやすい四隅のメッキが剥がれてしまったり、経年変化で全体が真っ黒に変色してしまったりするというデリケートな一面を持っています。
今回は、そんなヴェルメイユ特有のダメージを美しく蘇らせたクォーツモデルの修理事例です。
お預かりした際のマストタンクは、以下のようなコンディションでした。
本体ケースの四隅: 最も何かに接触しやすく、擦れやすい「四隅」のゴールドメッキが剥がれ、地金のシルバーが露出(剥離)してしまっています。
本体サイドの変色: ケースの側面を中心に、酸化(硫化)が進んで真っ黒に変色してしまっています。
裏蓋の状態: 裏蓋側も全体的にくすみや小傷が生じており、せっかくの洗練されたゴールドの風合いが損なわれている状態でした。
このようにメッキが実際に剥がれてしまっている場合は、薬品による「変色取り(クリーニング)」だけでは元の均一なゴールドに戻すことができません。地金の面を滑らかに整え、新たにゴールドを施す「再メッキ修理」が必要となります。
当店の再メッキは、ただ上から金を塗るだけの作業ではありません。職人が時計の寿命と美しさを最優先に考え、手間を惜しまず施工します。
デリケートな文字盤やクォーツムーブメントを保護するため、時計を完全に分解。パーツ単体にした状態で、隅々に入り込んだ黒ずみを徹底的に取り除きます。
メッキを美しく定着させるため、剥げの境界線や小傷を、マストタンク特有の美しい直線美やエッジ(輪郭)を損なわないよう慎重に研磨(ポリッシュ)します。
本体ケース: 歪みのない、透き通るような「鏡面仕上げ」を施します。
裏蓋: オリジナルが持つ洗練された質感を忠実に再現するため、研磨後に繊細な「ヘアライン仕上げ」を施します。
地金を整えた後、一般的な修理店(0.8ミクロン以下)の数倍の厚みを持つ「5ミクロン」の極厚18金メッキを贅沢に施工します。
高級感溢れる色合い: 本物の18金ならではの、しっとりとした深みのある黄金色が復活します。
高い保護力: メッキ層が非常に厚いため、再びの変色や剥がれを大幅に抑え、長く美しい状態を保ちます。

四隅のゴールドが剥がれ、サイドが真っ黒に変色していたケース が、5ミクロンの厚金メッキによって隙のない均一なゴールドに包まれました。四隅の剥がれは見事に塞がり、変色も綺麗さっぱりなくなって、周囲を鮮明に映し出すほどクリアな鏡面へと生まれ変わっています。
カルティエのマストタンクは、適切なお手入れを施すことで、何十年、あるいは次の世代へと受け継いでいける素晴らしい名品です。「剥げてしまったから」「変色がひどいから」と諦めて引き出しに眠らせておくのはもったいないことです。
カイドージュエリーでは、お客様の想い出が詰まった時計を、1本ずつ丁寧に、情熱を持って修復いたします。
福井県の店頭はもちろん、全国からの配送修理(郵送修理)も大歓迎です。ぜひお気軽にご相談ください。
▼カルティエ マストタンクの再メッキ・時計修理の詳細はこちら https://kaido-co.jp/watch-repair/