2025.08.28WATCH REPAIR
カルティエの「マストタンク」。その洗練されたデザインは、時代を超えて多くの人々を魅了し続けています。今回は、そんなマストタンクの黒ずみ変色を綺麗に取った修理実例をご紹介します。さらに、カルティエの歴史にまつわる興味深い秘話もお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。
今回お預かりしたのは、長年愛用されてきたであろうカルティエのマストタンクです。全体に打痕が点在し、特に打痕が集中している箇所は黒く変色してしまっていました。
一見すると、「ここまで変色してしまったら、もう元には戻らないのでは?」と思ってしまいますよね。しかし、ご安心ください。適切な技術と専門の工具を使えば、このような深刻な変色も綺麗に修復することが可能です。
こちらが、修理前の状態です。
文字盤周りのケースサイドやラグ部分に、深い黒ずみと変色が見られます。
裏蓋にも打痕や変色が見られ、長年の使用感がうかがえます。
変色を取り除く作業は、非常に丁寧な技術が求められます。
この丁寧な作業の結果、長年の時を経て真っ黒になっていたマストタンクは、再び美しいゴールドの輝きを取り戻しました。お客様にも大変喜んでいただき、私たちも嬉しい限りです。
当店独自の変色取り修理によって、本体ケースや裏蓋の変色は完全に消え去り、鏡面のような美しい輝きが蘇りました。
これらの変色取り修理は15,400円となります。
打痕は変色取り修理では消えませんが、これらの打痕や擦り傷も完全に取り除いて新品のようにしたい場合は33,000円の研磨と再メッキのコースをお選びください。
1970年代、石油危機による不況の時代に、カルティエは新たな戦略を打ち出します。それが、手の届くラグジュアリーを目指した「マスト ドゥ カルティエ(Must de Cartier)」ラインです。
「Must」という言葉には、「〜しなければならない」という意味の他に、「貴重なもの、必携品」という意味が込められています。このラインは、カルティエの伝統的なデザインはそのままに、素材を金無垢から**ヴェルメイユ(銀に金を厚くメッキしたもの)**などにすることで、より多くの人々がカルティエの時計を楽しめるようにと考案されました。今回修理したマストタンクも、この「マスト ドゥ カルティエ」ラインの一つです。
この大胆な戦略は成功を収め、カルティエは世界的なブランドとしての地位を確固たるものにしました。
カルティエの時計は、単なる時間を示す道具ではなく、身につける人の歴史を刻む大切な宝物です。長年のご使用で付いた傷や変色も、適切な修理を施すことで、再び輝きを取り戻すことができます。
**「これはもう無理かも…」**と諦める前に、ぜひ一度、私たち時計修理の専門家にご相談ください。熟練の技術とカルティエへの深い知識で、あなたの愛する時計を蘇らせます。
ご質問やご相談は、お気軽にお問い合わせください。