2025.09.10WATCH REPAIR
愛用されているカルティエのマストタンク、その美しい輝きが色褪せてはいませんか?特に長年大切に使われてきたクオーツ式のマストタンクでは、メッキの剥がれが気になるというお悩みも少なくありません。
今回、まさにそんな状態のカルティエ マストタンクの再メッキ修理をご依頼いただきました。長年の使用でところどころメッキが剥がれ、本来の輝きが失われていたタンクが、熟練の職人の手によって見事に蘇った様子をご紹介いたします。
ご依頼いただいたマストタンクは、全体的にメッキの剥がれが見られ、裏蓋もメッキが薄くなった状態でした。この状態から、まるで新品のような輝きを取り戻すため、以下の丁寧な工程を経て修理を行いました。
ご覧ください。まるで時を巻き戻したかのように、カルティエ マストタンクが本来の輝きを取り戻しました。
メッキの剥がれが完全に消え去り、鏡面仕上げが施されたケースは、光を美しく反射し、カルティエならではの気品を放っています。裏蓋もこの通り、刻印がくっきりと見え、全体的に引き締まった印象に仕上がりました。
ここで、カルティエ マストタンクの「タンク」という名前に隠された fascinating な秘話をご紹介しましょう。
マストタンクのルーツである「カルティエ タンク」が誕生したのは、第一次世界大戦中の1917年のこと。当時、ルイ・カルティエは、戦場で活躍していた「戦車(Tank)」の無骨で力強いフォルムにインスピレーションを受けました。
従来の丸型時計が主流であった時代に、ルイ・カルティエは戦車の平面的なキャタピラと車体を融合させたような長方形のケースデザインを考案しました。これが、時計史に革命をもたらす「タンク」のデザインの原型となったのです。
1919年に最初のタンクウォッチが発表されると、その斬新なデザインは瞬く間に上流階級の人々を魅了しました。そして、1970年代に登場した「マストタンク」は、その普遍的なデザインを受け継ぎつつ、より多くの人々にカルティエのエレガンスを届けるモデルとして大ヒットしました。
戦場の兵器からインスピレーションを受け、エレガントな時計へと昇華させる感性。この意外な誕生秘話を知ると、マストタンクが持つ力強さと美しさの融合に、より一層奥深さを感じられるのではないでしょうか。
カルティエ マストタンクは、ただの時間を計る道具ではありません。そこには、歴史とデザイン、そしてそれを身につける人々の想いが詰まっています。メッキが剥がれてしまったからと諦めてしまうのは、あまりにももったいないことです。
今回ご紹介した再メッキ修理のように、適切なメンテナンスを行うことで、あなたのカルティエ マストタンクは再び輝きを取り戻し、これからも長く、そして次の世代へと受け継がれていく宝物となるでしょう。
大切な時計のメンテナンスでお悩みでしたら、ぜひ一度ご相談ください。熟練の技術で、あなたの時計に新たな命を吹き込みます。