はじめに

カルティエの「タンク フランセーズ」は、時を超えて愛され続けるエレガントな腕時計です。しかし、長年ご愛用いただく中で、ブレスレットの変色やくすみが気になることも少なくありません。今回は、大切なお客様のタンク フランセーズに、新品同様の輝きを取り戻す「新品仕上げ（ポリッシュ）」と「変色取り」の修理を行いました。

タンク フランセーズの物語：戦車から生まれたエレガンス

「タンク」と聞いて、戦車を思い浮かべる方は少ないかもしれません。しかし、このアイコニックなデザインは、第一次世界大戦中に活躍したフランスの戦車「ルノー」から着想を得て、1917年にルイ・カルティエによって生み出されました。戦車のキャタピラー（無限軌道）をモチーフにした直線的なラインが、ケースとブレスレットが一体となった特徴的なデザインに昇華されています。

そして、1996年に誕生したのが「タンク フランセーズ」です。その名の通り、「フランスの」という意味を持つこのモデルは、モダンなブレスレットが組み合わされ、より現代的で洗練されたスタイルを確立しました。普遍的な美しさを持つタンク フランセーズは、エレガンスと力強さが共存する唯一無二の存在として、今もなお世界中の人々を魅了し続けています。

修理内容：変色取りと新品仕上げの技術

今回お預かりしたタンク フランセーズは、ブレスレットの金色の部分に酸化による変色が見られ、全体的に細かな傷や生活傷で輝きが失われた状態でした。

添付の画像で特にブレスレットの金色の部分に、黒ずんだような変色があるのがお分かりいただけるかと思います。

私たちが施した修理は以下の2点です。

1. 変色取り 特殊な溶液を使用し、変色の原因となっている酸化膜を丁寧に除去しました。素材を傷つけることなく、本来の美しい輝きを引き出すための重要な工程です。

2. 新品仕上げ（ポリッシュ） ケースとブレスレット全体に、熟練の職人が研磨を施しました。鏡面仕上げとヘアライン仕上げの異なる加工が組み合わさっているタンク フランセーズのデザインを損なわないよう、細部にまでこだわって作業を進めます。細かな傷を取り除き、新品時のように滑らかで美しい輝きを蘇らせます。

修理後の画像をご覧ください。変色が完全に消え、ケースとブレスレットが鏡のように輝いているのがお分かりいただけます。お客様からも「まるで新品のようだ」と大変ご満足のお言葉をいただきました。

まとめ

大切な腕時計を長くご愛用いただくためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。今回のタンク フランセーズのように、長年の使用で付いてしまった傷やくすみ、変色も、適切な修理を行うことで、再び輝きを取り戻すことができます。

愛着のある時計を、いつまでも美しい状態で身につけたい。私たちは、そのお手伝いをさせていただきます。腕時計の修理でお悩みでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。