2025.10.02WATCH REPAIR

伝説が蘇る】カルティエ マストタンクのメッキ剥がれを5ミクロン再メッキで完全修復!ブランド秘話とヴェルメイユの魅力

 

長年愛用されてきた時計は、オーナー様の歴史そのもの。しかし、その輝きを失い、修理を諦めてしまう方も少なくありません。

今回は、「マスト ドゥ カルティエ」の中でも特に人気が高く、愛好家の多い古い手巻きのカルティエ マストタンクの再メッキ修理をご紹介します。裏蓋やケースのメッキが剥がれ、本来の美しさが損なわれてしまった時計が、カイ・ドウジュエリーの職人技によって、見事に蘇りました。


 

1. マストタンクの悩み:メッキ剥がれの背景にある「ヴェルメイユ」

カルティエタンク修理前の表面の写真

カルティエタンク修理前の裏面の写真

今回お預かりしたのは、ケースの金メッキが剥がれ、下の素材が露出してしまっていたマストタンクです。本体も裏蓋もメッキ剥がれの跡がはっきりと見られました。

 

マストタンクと「ヴェルメイユ」

 

裏蓋には「925 ARGENT PLAQUE OR G 20M」という刻印があります。これは、マストタンクの多くに採用されていた「ヴェルメイユ(Vermeil)」という特殊な仕様を示しています。

  • 925 ARGENT: スターリングシルバー(銀)がベース素材であること。
  • PLAQUE OR G 20M: 銀のケースに厚い金メッキ(20ミクロン)が施されていること。

銀をベースにすることで、当時高価だった金無垢モデルに比べ、遥かに手の届きやすい価格帯を実現し、カルティエの名を世界に広めるきっかけとなりました。

しかし、長年の使用で汗や皮脂、摩擦にさらされると、この厚い金メッキ(20ミクロン)でも徐々に摩耗し、このように下地のシルバーが露出してしまうのです。

 

2. カイドージュエリーの再メッキ修理:5ミクロンに込めたこだわり

 

メッキ剥がれの修理は、単に上から色を塗る作業ではありません。元の時計の美しさを取り戻し、さらに長く愛用していただけるよう、カイドージュエリーでは以下の工程に徹底的にこだわります。

 

① 丁寧な研磨と鏡面仕上げ

 

メッキを施す前に最も重要なのが、ケースと裏蓋の下地処理です。

長年の傷や凹凸、そして剥がれ残ったメッキを、熟練の技術で丁寧に研磨します。この工程で、ケース全体を新品同様の鏡面(ミラー)仕上げに戻します。この下地が完璧でないと、メッキをかけても美しい仕上がりにはなりません。

 

② 5ミクロンの厚い再メッキ

 

日本のメッキ工場の一般的なメッキは0.8ミクロン程度と言われています。このような薄い層で済ませてしまうと、メッキはすぐに剥がれてしまいます。

カイドージュエリーでは、耐久性と美しさを両立させるため、5ミクロンの厚い再メッキを施します。元の「PLAQUE OR G 20M」の20ミクロンには及びませんが、最新の技術で強度を高めた5ミクロンの厚金メッキは、日常の使用において安心感を与え、マストタンク本来の豪華な輝きを深く蘇らせます。

 

3. 【ブランド秘話】「マスト ドゥ カルティエ」が生まれた理由

 

なぜ、カルティエは「ヴェルメイユ」という仕様でマストタンクを製造したのでしょうか?これには、ブランドの大きな転換期と、秘められた戦略があります。

 

戦車から生まれた「タンク」

 

1917年、カルティエの3代目ルイ・カルティエは、第一次世界大戦で活躍したルノー製の戦車(タンク)の上からの形状にインスピレーションを受け、長方形のケースと左右に伸びるブザール(垂直な枠)を持つ「タンク ウォッチ」を考案しました。これは、当時の丸形が主流だった時計デザインに革命を起こし、瞬く間に成功を収めます。

 

「マスト ドゥ カルティエ」の誕生

 

しかし、1970年代に入り、クォーツ時計の台頭や景気後退により、高級時計市場は大きな転換期を迎えます。そこでカルティエが打ち出したのが、**「マスト ドゥ カルティエ(Must de Cartier)」**ラインでした。

「Must de Cartier」とは、「カルティエを持たずにはいられない」「カルティエはなくてはならないもの」という意味。従来の金無垢やプラチナといった超富裕層向けから、より多くの人々にカルティエの美意識とデザインを届けるための戦略的な普及モデルでした。

この「マスト」ラインで採用されたのが、銀をベースに厚い金メッキを施したヴェルメイユ仕様のタンクウォッチです。これにより、カルティエはラグジュアリーブランドとしての価値を保ちながら、多くのファンを獲得し、現代まで続く地位を確固たるものにしたのです。

 

4. 蘇った輝き。愛用のマストタンクを未来へ

カルティエタンクメッキ修理後の表面の写真

カルティエタンクメッキ修理後の裏面の写真

カルティエタンクメッキ修理後の側面の写真

研磨と5ミクロンの再メッキを施したマストタンクは、発売当時の鮮やかなゴールドの輝きを取り戻しました。

剥がれていた裏蓋も美しい鏡面に仕上がり、文字盤の「must de Cartier」のロゴ、サファイアガラスのカボション(青い石)を配したリューズとともに、時計全体がエレガントなオーラを放っています。

古い手巻きのマストタンクは、カルティエの歴史と美学、そしてあなたの歩んだ時間を内包した、唯一無二の存在です。メッキ剥がれは直せないと諦めてしまう前に、ぜひ一度ご相談ください。

カイドージュエリーは、あなたの愛する時計を未来へとつなぐお手伝いをいたします。

ビフォア・アフターの写真


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