2025.10.14WATCH REPAIR
長年愛用されてきたヴィンテージのカルティエの時計、特に「マストタンク」は、その普遍的なデザインで今なお高い人気を誇ります。
しかし、時と共に避けられないのが、ケースや裏蓋のメッキ剥がれや変色です。マストタンクの初期モデルの多くは、裏蓋の刻印にあるように「925 ARGENT(銀無垢・スターリングシルバー)」素材に金メッキが施されています。この銀無垢は、メッキが薄くなったり剥がれたりすると、下地の銀が汗や湿気、空気中の成分と反応し、まるで真っ黒な状態に変色してしまう特性があります。
今回お預かりしたのは、まさにこの現象により、本体や裏蓋が真っ黒に変色し、メッキが完全に剥がれてしまった手巻きの古いカルティエ マストタンクです。
古い時計を再び美しく輝かせ、長くご愛用いただくために、カイドージュエリーでは以下の工程で丁寧に修理を行いました。
1. 丁寧な研磨と鏡面仕上げ
まず、長年の使用で付いた細かな傷や、深く入り込んだ黒い変色(硫化)の層を、職人が一本一本丁寧に研磨し、完全に除去します。ケースの形状を損なうことなく、まるで鏡のような美しい鏡面仕上げにまで磨き上げます。この下地処理こそが、メッキの仕上がりと耐久性を左右する最も重要な工程です。
2. 5ミクロン厚の「再メッキ修理」
一般的な再メッキ(0.8ミクロン以下)では薄いメッキが施されることもありますが、カイドージュエリーでは、お客様に長く安心してご使用いただくために、5ミクロン(μm)の厚い金メッキを施します。元の刻印が示す厚さ(PLAGUE OR G 20M=20ミクロン、またはそれに準ずる厚さ)の耐久性に近づけるため、一般的な再メッキよりも分厚く、剥がれにくい強固なメッキ層を形成します。
修理の結果、真っ黒に変色していたケースと裏蓋は、オリジナルを忠実に再現した、高級感あふれるゴールドの輝きを取り戻しました。
裏蓋の「Cartier Paris 925 ARGENT PLAQUE OR G 20M」やシリアルナンバー「6 023981」といった重要な刻印も、研磨によって潰れることなく鮮明に残っています。古い時計が持つ歴史と個性を守りつつ、新品のような輝きを取り戻すことができました。
愛着のあるカルティエ マストタンクや、その他の古い時計のメッキ剥がれ、変色、傷でお悩みではありませんか?
カイドージュエリーは、貴金属修理の専門家として、お客様の大切な時計の美しさを蘇らせるための最高の技術を提供します。研磨から厚メッキまで、一貫して高品質な修理が可能です。
そうお考えの方は、ぜひ一度カイドージュエリーにご相談ください。
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