2025.10.20WATCH REPAIR
皆さん、こんにちは!カイドージュリーのブログへようこそ。
今回は、多くの方に愛される名作、カルティエの「マストタンク」の変色取り修理についてご紹介します。大切にされてきた時計が、時の流れと共に輝きを失っていくのは寂しいものですよね。
お預かりしたのは、ケースの裏蓋や側面が茶色く変色してしまった「マストタンク」です。お写真を見ていただければ一目瞭然ですが、Beforeの状態は金色の美しい輝きがくすんでしまっています。
修理内容:カルティエ マストタンク 変色取り修理
【Before/Afterの比較】
Before (変色あり) | After (変色取り修理後) | |
全体 | 金色の部分が茶色くくすんでいる | 鮮やかなゴールドの輝きが復活 |
裏蓋 | 中央のシリアル番号周辺などに変色が見られる | 文字や刻印がはっきりと見える美しい状態に |
裏蓋の刻印もはっきりと確認できますね。
この「マストタンク」のケースは、シルバー925に厚い金メッキを施した「ヴェルメイユ」という技法で作られており、これが今回の変色の原因でもあります。丁寧に専門的な処理を行うことで、素材の美しさを損なうことなく、輝きを取り戻すことができるのです。
さて、この時計を語る上で欠かせないのが、そのルーツである「タンク」の誕生にまつわる逸話です。
「タンク」の原型が生まれたのは1917年、第一次世界大戦の終結間際でした。
創業者であるルイ・カルティエは、戦場を駆け抜ける**ルノー製の戦車(タンク)**をモチーフにこの時計をデザインしたと言われています。
長方形のケースと、ブレード(垂直の枠)が一体となったデザインは、当時の主流だった丸型時計とは一線を画す、非常に革新的なものでした。
そして、「マストタンク」は、この「タンク」デザインをより多くの人々に広めるべく、1970年代中頃に誕生しました。高価な貴金属ではなく「ヴェルメイユ」を用いることで、より手頃な価格帯で提供され、「Must(持たなければならない)」という名を冠して、世界的な大ヒットを記録しました。
戦車からインスピレーションを得た力強いデザインと、手の届くラグジュアリーとして多くの女性の心を掴んだ歴史を持つのが、この「マストタンク」なのです。
お客様からお預かりした大切なマストタンクは、変色取り修理により、その誕生の逸話にふさわしい、堂々とした美しさを取り戻しました。
ヴィンテージウォッチは、手をかけてあげることで長く使い続けることができます。カルティエの時計の変色やくすみでお悩みでしたら、ぜひカイドーにご相談ください。
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カルティエ マストタンクのメッキ剥がれは、適切な修理で美しさを完全に取り戻すことができます。