2025.11.05WATCH REPAIR
平素よりカイドージュエリーの時計修理ブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。
今回は、カルティエの名作ウォッチ「マスト ドゥ カルティエ タンク」(クォーツモデル)の変色取り修理事例をご紹介します。長年のご愛用によりケースが茶色に変色してしまった大切な時計が、熟練の技術で元の輝きを取り戻しました。
「ケースが黒ずんでしまった」「変色を綺麗にしたい」とお悩みの方は、ぜひ当社の修理技術と、マストタンクが持つ独特の素材の秘密をご覧ください。


ご覧いただいた写真の通り、時計のサイドや裏蓋のネジ周辺に、メッキの剥がれではなく、素材特有の茶色い変色が広範囲に見られました。


熟練の職人がムーブメントを取り外し、ケースの変色部分を丁寧にクリーニング。ケース横や裏蓋の小さなネジ一本まで完全に変色を取り除き、本来の美しいゴールドの輝きを蘇らせました。

今回変色が見られたマストタンクのケースには、「ヴェルメイユ(Vermeil)」というフランスの伝統的な素材が使われています。
この硫化銀による変色は、市販のクリーナーや研磨剤ではメッキを傷つけたり剥がしたりするリスクがあります。ヴェルメイユ素材の特性を理解し、時計を分解して行う専門的なクリーニングこそが、美しく安全に輝きを復活させる秘訣です。
マストタンクがヴェルメイユという素材を採用した背景には、老舗ジュエラーであるカルティエの革新的な戦略があります。
1970年代、「クォーツショック」によりスイスの機械式時計が危機に瀕する中、カルティエは「must de Cartier(必需品のカルティエ)」ラインを発表しました。これは、「誰もがカルティエを所有するべき」という想いを込めた、比較的手に取りやすい価格帯のコレクションです。
高級素材である金ではなく、厚い金メッキを施したヴェルメイユを採用することで、伝統の「タンク」デザインをより多くの人々に届け、ブランドの顧客層を大きく広げることに成功しました。マストタンクは、時代を乗り越えるエレガンスと革新性を象徴する、まさに「必需品」として今も愛され続けています。
カイドージュエリーでは、この歴史あるヴェルメイユ素材の特性を熟知した職人が、お客様の大切なカルティエウォッチの輝きを復活させます。メッキ剥がれや深い傷がある場合は、より耐久性の高い「研磨と再メッキ」のコースもご用意しております。
お客様のマストタンクを、もう一度輝かせませんか?
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