2025.11.25WATCH REPAIR
カルティエの「マスト ドゥ カルティエ」シリーズ、特に丸みを帯びたデザインが人気の「マスト コリゼ」は、流行に左右されないエレガントな時計として、今なお多くのファンに愛されています。
しかし、このマストシリーズのケースは、多くが**ヴェルメイユ(VERMEIL)**という仕様です。これは純銀(シルバー925)のケースに厚い金メッキを施したものですが、経年や汗、湿気などにより、メッキが剥がれていなくても、表面の金や下地の銀が酸化・硫化して変色してしまうことがあります。
金色の輝きが黒っぽくくすんだり、虹色のような変色を起こしてしまうと、せっかくの美しい時計を着ける機会が減ってしまいますよね。
カイドージュエリーでは、このような変色やくすみで輝きを失ったカルティエの時計を、素材を傷めずに丁寧にクリーニングし、本来の輝きを取り戻す修理を得意としています。
今回は、広範囲に変色が見られたカルティエ マスト コリゼ クオーツ (Ref. 590002) のクリーニング実例をご紹介します。


お持ち込みいただいたカルティエ マスト コリゼは、ケース全体、特にベゼルからラグにかけて広範囲にわたる変色が見られました。
| 特徴 | |
| ケースのゴールド部分が茶色や黒、紫など虹色に変色し、輝きが鈍くなっています。 | |
| 裏蓋にも全体的にくすみや黒ずみが見られ、時計の清潔感が失われています。 |
これは、金メッキ表面の酸化や、わずかなメッキの隙間から湿気が入り込み下地の銀が硫化(黒ずみ)している状態と考えられます。
当社の「変色取り・クリーニング修理」は、単なる拭き上げではありません。
① 徹底した分解と洗浄
まずはムーブメントやリューズを外し、ケースを単体にします。次に、ケース全体に付着した汚れや、変色の原因となっている酸化被膜(くすみ)や硫化被膜(黒ずみ)を、素材を傷つけない特殊な方法で丁寧に除去していきます。
② プロフェッショナルな仕上げ
変色の原因を根元から取り除くことで、時計は再びゴールドの光沢を取り戻します。研磨が必要な場合は、ケースの丸みを崩さないよう細心の注意を払って行います。


長年の蓄積された変色やくすみが取り除かれ、カルティエらしい上品で華やかなゴールドの輝きが完全に復活しました。
| 特徴 | |
| 変色が完全に消え、鏡面仕上げのゴールドが美しく輝いています。時計全体に清潔感が戻りました。 | |
| 裏蓋の刻印も鮮明なまま、くすみや黒ずみがなくなり、本来のゴールドカラーが蘇りました。 |
これで、人前で自信を持って着用できる状態に回復しました。

ヴェルメイユ(銀に金メッキ)製品の変色は、主に以下の理由で起こります。
硫化: 下地の銀が空気中の硫黄成分(汗、温泉、排気ガスなど)と反応して黒い膜(硫化銀)を作る現象。メッキが完全でも、目に見えないピンホール(微細な穴)から進行することがあります。
酸化: 金メッキ表面が、皮脂や化粧品、汗などの水分と反応してくすむ現象。
定期的なお手入れで変色を予防し、それでも発生した変色は、プロによる専門的なクリーニングで取り除くことが、長く美しく愛用する秘訣です。
ご自身で強く磨きすぎると、メッキが薄くなったり剥がれたりするリスクがあります。特にカルティエのヴェルメイユモデルはデリケートなため、変色やくすみが気になったら、メッキ素材の扱いに慣れた専門店へご相談ください。
カイドージュエリーでは、お客様の大切な時計の状態を正確に見極め、最適な方法で本来の輝きを取り戻します。メッキ剥がれが深刻な場合は、前回の記事のような「再メッキ修理」も可能です。
変色をリフレッシュして、カルティエの時計を再びあなたの手元で輝かせましょう。
カイドージュエリー 時計修理のブログ
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「他店で断られた」「メッキがすぐに剥がれてしまった」という方も、ぜひ一度カイドージュリーにご相談ください。