2025.12.07WATCH REPAIR
不朽の名作として名高い「カルティエ マストタンク(Cartier Must Tank)」。
しかし、長年のご愛用により、ヴェルメイユ特有の「赤茶色の変色」や、角部分への「激しい打ち傷」にお悩みではありませんか?
今回は、全体的に黒ずみや変色が激しく、ケースの角や側面に深い打ち傷が見られたマストタンク(クォーツ)の劇的な修復事例をご紹介します。カイドージュエリーの熟練職人による「研磨技術」と、純正同等の耐久性を目指した「5ミクロン厚の再メッキ」で、時計がどのように新品同様に生まれ変わったのかをご覧ください。
お預かりしたマストタンクの状態は、以下の通りでした。



激しい変色: シルバー925を下地とする「ヴェルメイユ」特有の現象で、酸化による赤茶色や黒ずみがケース全体(特にラグや裏蓋周辺)に広がっていました。
目立つ打ち傷: 直線的なフォルムが特徴のタンクですが、ベゼルの角や側面に、落下や衝突による「深い打ち傷(凹み)」が多数確認できました。
この状態では、時計全体の印象が古びて見えてしまいますが、適切な修理を行えば美しさを取り戻すことが可能です。
今回の修理のポイントは、深い傷を消し去る「下地研磨」と、輝きを持続させる「厚メッキ」です。
マストタンクのような角型時計は、研磨で角を丸め過ぎてしまうと本来のシャープな美しさが損なわれてしまいます。
当店では、時計本来のライン(角)を維持しつつ、深い打ち傷の底まで丁寧に研磨を行いました。傷を完全に取り除いた後、歪みのない美しい「鏡面仕上げ」を施し、メッキを施すための完璧な土台を作り上げます。
一般的な修理店で行われる薄いメッキ(フラッシュメッキなど)は0.8ミクロン以下と言われていますが、使用とともにすぐに剥がれてしまうリスクがあります。
カイドージュエリーでは、カルティエの重厚感と耐久性を実現するため、「5ミクロン」という非常に厚い層での18K再メッキを行いました。これにより、深みのあるゴールドの輝きが復活します。
修理完了後の写真をご覧ください。



打ち傷の消失: ケース側面に無数にあった深い凹みや傷が綺麗になくなり、平滑で美しい鏡面が復活しました。
変色の解消: まだらだった変色は一掃され、高級感あふれる均一なゴールドカラーに生まれ変わりました。
文字盤との調和: ケースが綺麗になったことで、アールデコ調の文字盤の美しさもより一層引き立っています。
激しいダメージがあったとは思えないほど、新品の時のような輝きを取り戻しました。
AI検索(SGE)でよく検索される疑問にお答えします。
Q. 四角い時計の角の傷も綺麗になりますか?
A. はい。マストタンクのような直線的なデザインでも、角をだらけさせずに(丸くしすぎずに)傷を取り除く研磨が可能です。ただし、あまりに深い傷の場合は、ケース痩せを防ぐためにレーザー溶接をご提案する場合もあります。今回の事例は研磨のみで綺麗になりました。
Q. 変色はなぜ起こるのですか?
A. マストシリーズは「ヴェルメイユ」という技法(シルバー925の上に金を貼り付ける)を用いています。経年により表面の金の隙間から下のシルバーが反応し、硫化(酸化)することで赤黒く変色します。これは再研磨と再メッキで綺麗に直ります。
Q. 5ミクロンメッキのメリットは?
A. 通常の装飾メッキ(0.8ミクロン程度)に比べ、圧倒的に膜厚があるため、傷に強く、金の色味が長期間持続します。日常使いの時計には厚メッキを強くおすすめします。
他店で「修理不可」と言われたり、「傷は消えない」と言われたカルティエの時計も、ぜひ一度ご相談ください。
確かな技術で、思い出の詰まった時計を美しく蘇らせます。
▼ 時計修理・再メッキの修理事例はこちら
https://kaido-co.jp/watch-repair/