2025.12.14WATCH REPAIR
カルティエの「マスト ドゥ カルティエ」シリーズは、アンティーク・ヴィンテージウォッチとしても非常に人気が高いモデルです。しかし、これらの多くが採用している**ヴェルメイユ(VERMEIL)**という素材は、長期間の使用や保管環境によって、深刻な変色に見舞われることがあります。
特に、汗や湿気、空気中の硫黄成分などと反応すると、ケース全体が真っ黒に、あるいは虹色に強く変色してしまい、「もう元には戻らないかも…」と諦めてしまう方も少なくありません。
今回ご紹介するのは、本体ケースから裏蓋まで広範囲が真っ黒に変色してしまったカルティエ マスト コリゼ クオーツの、専門的な「変色取り・クリーニング修理」実例です。
お持ち込みいただいたカルティエ マスト コリゼは、非常に重度の変色が見られました。


表側(文字盤周り):金メッキの上から全体が黒ずみ、部分的に虹色の変色(硫化)が発生し、本来のゴールドの輝きが完全に失われていました。
裏蓋:裏蓋全体に黒い変色(硫化・酸化)が広がっており、刻印「VERMEIL Quartz」「ARGENT 925」などがかろうじて見える状態でした。
ヴェルメイユ(純銀に金メッキ)の変色(硫化)は非常に頑固で、強く磨くとメッキを剥がしてしまうリスクがあります。カイドージュエリーでは、以下の手順で時計を傷つけずに輝きを復活させます。
丁寧な分解: まず時計を分解し、デリケートなムーブメント(機械)や文字盤に影響が及ばないよう、ケース・裏蓋・ネジのみに分離します。
特殊な変色除去: 銀の硫化(黒ずみ)や表面の酸化被膜を、素材を傷めずに化学的に除去する特殊なクリーニング処理を施します。
専門的な修理を終え、ケースは本来の豪華で美しいゴールドカラーの輝きを取り戻しました。


変色やくすみが完全に消え、鏡のように周囲を映し出す美しい鏡面仕上げが復活しました。
裏蓋の変色も完全に除去され、刻印(VERMEIL、925など)が鮮明に見えるようになりました。
長年諦めていた「真っ黒なカルティエ」も、専門技術によってここまで美しく蘇ります。
カルティエのヴェルメイユモデルは、定期的なメンテナンスが非常に重要です。
日頃のお手入れ: ご使用後は、柔らかい布で優しく汗や皮脂を拭き取ってください。
保管: 湿気の多い場所や、硫黄成分を含むもの(ゴム製品など)の近くでの保管は避けてください。
深刻な変色や打ち傷は、自己流のケアでは対応が難しい場合が多く、かえって状態を悪化させる可能性があります。
メッキ修理・変色取りは、経験豊富なカイドージュエリーにぜひお任せください。
カイドージュエリー 時計修理のブログ
https://kaido-co.jp/watch-repair/