2025.12.15WATCH REPAIR
カルティエのアイコンとも言える角型時計「マストタンク(Must Tank)」。時代を超えて愛される名作ですが、長年愛用したり、しばらく保管している間に**「ケースや裏蓋が真っ黒に変色してしまった」**というご相談を非常によくいただきます。
「汚れだと思って拭いても取れない」「サビてしまったのかも…」と不安に思う方も多いですが、実はこれ、カルティエ特有の素材「ヴェルメイユ」に起こる自然な現象です。
カイドージュエリーでは、この**頑固な黒ずみ(変色)を、時計を分解して丁寧に除去する「変色取り修理」**を行っています。
今回は、全体が黒く変色してしまったカルティエ マストタンクの修理実例をご紹介します。


お預かりしたマストタンクは、ケース全体と裏蓋が真っ黒に変色している状態でした。本来の上品なゴールドの輝きは失われ、まるで別の時計のような暗い印象になっていました。
症状: ケース側面、ベゼル、裏蓋の全面的な黒ずみ・くすみ。
原因: 経年変化や湿気、皮脂などによる「硫化(りゅうか)」現象。
変色してしまったカルティエを蘇らせるため、以下の手順で丁寧に作業を行いました。
① 丁寧な分解(オーバーホール前段階) 変色取りの薬品や洗浄作業がムーブメント(機械内部)や文字盤に影響を与えないよう、まずは時計を慎重に分解し、ケース単体の状態にします。
② 専門的な変色除去・クリーニング 単なる洗浄では落ちない強力な黒ずみ(硫化膜)を、素材を傷めない特殊なクリーニング技術で除去します。ゴシゴシと削り落とすのではなく、汚れの原因を化学的に取り除くことで、金メッキの厚みを極力残したまま輝きを取り戻します。


修理完了後のマストタンクは、見違えるような美しさを取り戻しました。
輝きの復活: あれほど黒かったケースが、本来の明るいゴールドカラーに蘇りました。
清潔感: 裏蓋の刻印もはっきりと読み取れるようになり、清潔感が戻りました。
まるで新品の時のような輝きを取り戻し、お客様にも大変喜んでいただきました。
マストタンクやマストコリゼなど、「マストシリーズ」の多くはヴェルメイユという技法で作られています。これは、純銀(シルバー925)のケースの上に、厚い金メッキを施したものです。
金そのものは変色しにくい素材ですが、下地の銀(シルバー)は空気中の硫黄成分などに反応して「硫化」し、黒くなる性質を持っています。
メッキの目に見えない微細な隙間から銀の成分が反応したり、メッキが薄くなった部分から銀が露出することで、表面が黒や茶色、紫色に変色してしまうのです。
ご自身で市販のシルバー磨きなどで強く擦ると、デリケートな金メッキまで剥がしてしまい、取り返しのつかない状態になることがあります。
カイドージュエリーの「変色取り修理」なら、プロの技術で安全に、そして確実に美しい輝きを取り戻します。
黒ずみが気になる
全体的にくすんで見える
メッキ剥がれか汚れかわからない
このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度カイドージュエリーにご相談ください。
あなたの大切なカルティエ マストタンクを、再び腕元で輝かせます。
カイドージュエリー 時計修理のブログ https://kaido-co.jp/watch-repair/