2026.05.30WATCH REPAIR
カルティエの「マストタンク」の多くは、シルバー925(純銀)の地金に18金を厚く重ねる「ヴェルメイユ」という伝統的な技法で作られています。 独特の温かみがあるゴールドの風合いが魅力的な反面、経年変化によって中の銀成分が表面に浮き出し、「全体が真っ黒に変色(硫化)してしまう」というデリケートな一面を持っています。
今回は、そんなヴェルメイユ特有の重度な変色を、当店の最高峰ケアで美しく蘇らせたクォーツモデルの修理事例です。
お預かりした際のマストタンクは、長年の眠りを物語るようなコンディションでした。
本体ケース: 本来の上品なゴールドが完全に隠れてしまい、ケース全体がまるで別の時計かと思うほど真っ黒に変色しています。
裏蓋全体: 直接肌に触れる裏蓋も、汗や水分、空気中の成分による酸化がかなり進んでおり、どんよりとした強い変色に覆い尽くされていました。
このレベルまで酸化膜が厚くなってしまうと、市販のクロスで磨くだけでは到底太刀打ちできません。また、隅々まで均一に美しく仕上げるためには、表面の酸化膜を取り除いた上で、下地を整えて新たに金を施す「再メッキ修理」がベストな選択となります。
当店の再メッキ修理は、単に上から金を塗るだけの作業ではありません。職人が時計本来の美しさと耐久性を引き出すため、以下の工程を徹底しています。
デリケートな文字盤やクォーツムーブメントに一切の負担をかけないよう、時計を完全に分解。ケースと裏蓋をパーツ単体にした状態で、細部に入り込んだ黒ずみまで丁寧に取り除きます。
メッキを美しく定着させ、歪みのない輝きを作るために、職人の手で慎重に表面を研磨(ポリッシュ)します。
本体ケース: タンクらしいシャープなエッジ(輪郭)を損なわないよう、透き通るような「鏡面仕上げ」を施します。
裏蓋: オリジナルの質感を忠実に再現するため、研磨後に繊細な「ヘアライン仕上げ」を施します。
下地を完璧に整えた後、一般的な修理店(0.8ミクロン以下)の数倍の厚みを持つ「5ミクロン」の極厚18金メッキを贅沢に施工します。
高級感溢れる色合い: 本物の18金ならではの、しっとりとした深みのある黄金色が復活します。
高い保護力: メッキ層が非常に厚いため、再びの変色や剥がれを大幅に抑え、美しい状態が長く続きます。


ケース全体を覆っていた真っ黒な変色 が完全に消え去り、5ミクロンの厚金メッキによって隙のない均一なゴールドに包まれました。周囲の景色を鮮明に映し出すほどクリアで美しい鏡面へと生まれ変わっています。


全体がどんよりとくすんでいた裏蓋 も、この通り。精密なヘアライン仕上げと厚金メッキを施したことで、カルティエのロゴやシリアルナンバーの刻印がハッキリと誇らしげに浮かび上がっています。
カルティエのマストタンクは、適切なお手入れを施すことで、何十年、そして次の世代へと受け継いでいける素晴らしい名品です。「変色がひどすぎるから」と諦めて引き出しに眠らせておくのはもったいないことです。
カイドージュエリーでは、お客様の思い出が詰まった時計を、1本ずつ丁寧に、情熱を持って修復いたします。
福井県の店頭への持ち込みはもちろん、全国どこからでもご利用いただける「配送修理(郵送修理)」も承っております。まずはお気軽にお問い合わせください。
▼カルティエ マストタンクの再メッキ・時計修理事例はこちら https://kaido-co.jp/watch-repair/