2026.02.24WATCH REPAIR
カルティエの名作ウォッチとして、世代を超えて愛され続ける**「マスト ドゥ カルティエ タンク(Must de Cartier Tank)」**。
しかし、長年大切にされてきたオーナー様を悩ませるのが、ケースに現れる**「黒い変色(黒ずみ)」**です。「もう元には戻らないのでは?」と諦めてしまう前に、ぜひ今回の修理事例をご覧ください。カイドージュリーの熟練の技術で、思い出の時計が新品のような輝きを取り戻しました。
お預かりした時計は、ケースの表面は比較的きれいなのですが、側面や裏蓋の四隅を中心に、銀特有の黒ずみが強く進んでいました。


【修理内容の詳細】
ケースの変色除去(硫化取り): メッキ層にダメージを与えないよう、専用の工程で黒ずみを丁寧に除去。。
ベルト交換: 経年劣化したベルトを新調し、時計全体の印象をリフレッシュ。

裏蓋に刻印された「925 ARGENT」や「PLAQUE OR G 20 M」といった繊細な文字を消すことなく、見事に黄金色の輝きが蘇りました。
なぜカルティエの時計は、これほどまでに人々を魅了するのでしょうか。その背景には、革新的な歴史があります。
「タンク」が誕生したのは1917年。第一次世界大戦中、平和をもたらしたフランス軍の**ルノー製戦車(タンク)**を上から見たシルエットにインスピレーションを得てデザインされました。 当時、丸型の懐中時計を腕に巻き付けたようなデザインが主流だった中、ラグとケースを一体化させた直線的なスクエアデザインは、時計界に革命を起こしました。
1970年代、高級ジュエラーだったカルティエが、「美しさをより多くの人へ」というコンセプトで発表したのが**「Must de Cartier(マスト・ドゥ・カルティエ)」**です。「持つべきもの(Must)」という意味が込められたこのラインは、世界中で爆発的なヒットを記録しました。
マストタンクの最大の特徴は、**「ヴェルメイユ(Vermeil)」**という伝統技法にあります。
素材の秘密: スターリングシルバー(銀925)をベースに、厚さ20ミクロンの厚い金メッキを施しています。
変色の原因: ベースが「銀」であるため、空気中の硫黄成分と反応して「硫化」を起こし、メッキの隙間からじわじわと黒ずみが浮き出てくるのです。
これは真鍮などの安価な素材ではなく、貴金属である「銀」を贅沢に使っている証でもあります。だからこそ、適切なメンテナンスを施せば、何度でも本来の美しさを取り戻すことができるのです。
大切な時計の修理には、宝石と時計、両方の知識が必要です。カイドージュリーでは、ヴェルメイユ素材の特性を熟知した職人が、一本一本の状態に合わせて最適な修理プランをご提案します。
「変色がひどくて恥ずかしくて着けられない」
「譲り受けたものだけど、綺麗にして使いたい」
「メッキが剥がれていないか心配」
そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度当店へご相談ください。
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