2026.05.25WATCH REPAIR
カルティエの「マストタンク」は、シルバー925(純銀)の地金に18金を厚く重ねる「ヴェルメイユ」という独自の技法が用いられています。 大変気品あるゴールドを楽しめる反面、経年変化によって全体が真っ黒に変色してしまったり、日常の使用で擦れやすい四隅のメッキが剥がれてしまったりするという繊細な一面を持っています。
今回は、そんなヴェルメイユ特有のダメージを美しく蘇らせたクォーツモデルの修理事例です。
お預かりした際のマストタンクは、長年大切に使われてきたことが伝わる、以下のようなコンディションでした。
本体ケースの四隅: タンクのデザインの特徴であり、最も擦れやすい「四隅」のゴールドメッキが剥がれ、地金のシルバーが露出していました。
裏蓋全体の変色(硫化): 肌に触れる裏蓋は、汗や空気中の成分による酸化がかなり進んでおり、全体がどんよりと黒く変色してしまっています。
この状態になると、通常の「変色取り(クリーニング)」だけでは剥がれた部分を直すことができません。地金の面を滑らかに整え、新たにゴールドを施す「再メッキ修理」が必要となります。
当店の再メッキは、ただ上に金を塗るだけの作業ではありません。職人が時計の寿命と美しさを最優先に考え、手間を惜しまず施工します。
デリケートな文字盤やクォーツムーブメントを保護するため、時計を完全に分解。ケースと裏蓋のパーツ単体にした状態で、隅々に入り込んだ黒ずみを徹底的に取り除きます。
メッキを美しく定着させるため、剥げの境界線や小傷を、ケースのエッジ(輪郭)を損なわないよう慎重に研磨します。
本体ケース: 歪みのない、透き通るような「鏡面仕上げ」を施します。
裏蓋: オリジナルが持つ洗練された質感を忠実に再現するため、研磨後に繊細な「ヘアライン仕上げ」を施します。
地金を整えた後、一般的な修理店(0.8ミクロン以下)の数倍の厚みを持つ「5ミクロン」の極厚18金メッキを贅沢に施工します。
高級感溢れる色合い: 本物の18金ならではの、しっとりとした深みのある黄金色が復活します。
高い保護力: メッキ層が非常に厚いため、再びの変色や剥がれを大幅に抑え、長く美しい状態を保ちます。


四隅のメッキが剥がれて色ムラになっていたケース が、5ミクロンの厚金メッキによって隙のない均一なゴールドに包まれました。周囲の景色が綺麗に写り込むほどの美しい鏡面へと生まれ変わっています。


全体を覆っていた真っ黒な変色 が完全に消え去り、精密なヘアライン仕上げによってカルティエのロゴや刻印がハッキリと誇らしげに浮かび上がっています。
カルティエのマストタンクは、適切なお手入れを施すことで、何十年、そして次の世代へと受け継いでいける素晴らしい名品です。「変色がひどいから」「剥げてしまったから」と諦めて引き出しに眠らせておくのはもったいないことです。
カイドージュエリーでは、お客様の想い出が詰まった時計を、1本ずつ丁寧に、情熱を持って修復いたします。
福井県の店頭はもちろん、全国からの配送修理(郵送修理)も大歓迎です。ぜひお気軽にご相談ください。
▼カルティエ マストタンクの再メッキ・時計修理の詳細はこちら https://kaido-co.jp/watch-repair/