2026.05.31WATCH REPAIR
カイドージュエリーのブログへようこそ。 今回は、世界中で愛され続けるタイムレスな名作「カルティエ・マストタンク」の変色取り修理事例をご紹介します。
ヴィンテージ時計をお持ちの方で、「メッキが剥げてしまったかもしれない……」とお悩みの方はいらっしゃいませんか?実はその剥がれに見えるもの、ただの「強い変色」かもしれません。職人の見極めによって、最小限のケアで美しく蘇ったエピソードをお届けします。
カルティエの「マストタンク」は、シルバー925(純銀)の地金に金を厚く重ねる「ヴェルメイユ」技法が特徴です。非常に高級感がある反面、経年変化によって銀成分が空気中の硫黄分などと反応し、「全体が真っ黒に変色(硫化)してしまう」という特有の性質があります。
今回お預かりしたクォーツモデルのマストタンクも、そんなヴィンテージ特有の深いお悩みを抱えていました。
お預かりした際、時計は以下のような状態でした。
本体ケース: 全体が真っ黒に変色しています。特にケースの四隅は変色のグラデーションが激しく、一見すると「メッキが完全に剥がれて地金のシルバーが露出している」ようにも見えました。
裏蓋全体: 裏蓋も同様に、全体がどんよりと茶褐色にくすんでしまっています。
通常、本当にメッキが剥がれてしまっている場合は「研磨+再メッキコース(38,500円)」が必要となります。しかし、カイドージュエリーでは独自のクリーニングを施す過程で、時計の状態をシビアに見極めます。
実際に分解して特殊な変色取りの処置を施してみたところ、剥がれのように見えていた四隅のパーツは、単に「変色が局所的に激しく固着していただけ」であることが判明しました。オリジナルの18金ヴェルメイユ層は、磨耗せずしっかりと残っていたのです。

そのため、今回は高額な再メッキではなく、コストを抑えられる「15,400円(税込)の変色取りコース」で修理を進めることとなりました。
当店の変色取りは、単にクロスで表面を磨くだけの作業とはワケが違います。
完全分解クリーニング: デリケートな文字盤やクォーツムーブメント、小さなネジに至るまでパーツをすべて安全に分解します。ケースや裏蓋単体の状態にすることで、隙間に入り込んだ黒ずみまで完全に除去できます。
オリジナルを傷つけないケア: メッキを削り落としてしまうような無理な研磨ではなく、薬品と熟練の技を用いて、当時のゴールド層をそのままに引き出します。

真っ黒に変色し、角が剥げているように見えたケース が、本来の美しく均一なゴールドの輝きを取り戻しました。四隅も含めて一切の色ムラがなくなり、タンクらしい気品溢れる姿に引き締まっています。

どんよりとくすんでいた裏蓋 の変色も完全にクリアになり、美しいゴールドの面が復活しました。「must de Cartier」のロゴや、素材を示す「ARGENT 925」の刻印もはっきりと美しく甦っています。
「もう古いからメッキをかけ直さないとダメかな……」と思っていても、今回のように丁寧に変色を取り除くことで、当時のメッキが綺麗に復活するケースは多々あります。お客様の大切な時計の状態をしっかりと見極め、過剰な修理をせず、最もお財布に優しく美しい方法をご提案する。それもカイドージュエリーのこだわりです。
もし、本体ケースの深い打痕(凹み傷)や細かな擦り傷まで新品同様にリセットしたい場合は、下地から整える「38,500円(税込)の再メッキコース」をお選びいただくことも可能です。お客様の理想の仕上がりに合わせてお気軽にご相談ください。
福井の店頭ほか、全国からの配送修理(郵送修理)も承っております。引き出しに眠っているカルティエに、もう一度まばゆい光を灯してみませんか?
▼カルティエ マストタンクの変色取り・時計修理の詳細はこちら https://kaido-co.jp/watch-repair/