2026.06.05WATCH REPAIR
カイドージュエリーのブログへようこそ。
今回は、ヴィンテージウォッチの最高峰として根強い人気を誇る「カルティエ・マストタンク」の劇的な修理事例をお届けします。
長年大切に使われてきた時計に起こりやすい「四隅のメッキ剥がれ」と「真っ黒な変色」。 これらが重なると「もう元には戻らないかも……」と諦めてしまいがちですが、当店のプレミアムな修理コースで見事に新品同様の輝きを取り戻したプロセスをご紹介します。
カルティエのマストタンクは、シルバー925(純銀)の地金に18金を厚くレイヤードする「ヴェルメイユ」という伝統的な技法で作られています。
しかし、長年愛用していくうちに、どうしても以下のような特有のダメージが現れてしまいます。
擦れやすい四隅のメッキ剥がれ(剥離)
地金の銀成分が浮き出て、空気中の硫黄分と反応して起こる「真っ黒な変色(硫化)」
今回お預かりしたクォーツモデルのマストタンクも、まさにその2つの症状が同時に進行している状態でした。
お預かりした際のマストタンクは、ヴィンテージならではの深いお悩みを抱えたコンディションでした。

本体ケースの正面・四隅: 写真で白丸で囲んであるように、最も日常の摩擦を受けやすい「四隅」のゴールドメッキが完全に擦り切れて剥離し、下地のシルバーがむき出しになっています。
本体ケースのサイド: 同じくに示されている通り、ケースの左側をはじめ、全体が濁ったように真っ黒に変色してしまっています。

裏蓋の状態: 写真の通り、裏蓋も全体的にゴールドの艶が消え、細かな擦り傷と経年のくすみで覆われていました。
このようにメッキ自体が摩耗して剥がれてしまっている場合、薬品を用いた「変色取り(クリーニング)」だけでは元の均一なゴールドに戻すことができません。 剥がれた境界線の段差を滑らかにし、新しく18金の層を定着させるために、当店の最高峰プランである「38,500円(税込)の研磨と再メッキコース」にて修理を承りました。
当店の再メッキ修理は、ただ上からメッキ液を浸すだけの簡易的な作業とは一線を画します。職人のプライドと技術を詰め込んだ工程をご紹介します。
繊細な文字盤やクォーツムーブメント、ガラスを保護するため、すべてのパーツを安全に分解します。ケースと裏蓋を単体にすることで、隙間に入り込んだ黒ずみまで完全に除去します。
メッキを美しく平滑に定着させるためには、下地作りが命です。 職人の手仕事によって、四隅のメッキ剥がれの段差や小傷を優しく、かつ平らに磨き上げます。マストタンクのアイデンティティである「シャープな直線のエッジ」を丸めてしまわないよう、慎重に美しい鏡面(ミラーフィニッシュ)へと整えます。
一般的な修理店のメッキ(0.8ミクロン以下)とは異なり、当店では「5ミクロン」という極厚の18金メッキを施します。
本物の高級感: 18金特有の、しっとりとした深みと品格のあるゴールドカラーが蘇ります。
抜群の耐久性: メッキ層が非常に厚いため、今後の磨耗や再変色を大幅に防ぎ、美しい輝きが驚くほど長持ちします。
四隅のシルバーの剥き出し(剥離)や、サイドのどす黒い変色が嘘のように消え去りました! 5ミクロンの厚金メッキに包まれたケースは、タンク特有の美しい縦のラインが見事に強調され、まるで当時のブティックに並んでいた新品かのような、曇りのない素晴らしい輝きを放っています。
全体に小傷やくすみが見られた裏蓋も、丁寧な下地ポリッシュと再メッキを施すことで、洗練されたゴールド面へと生まれ変わりました。カルティエのブランドロゴや素材を示す「ARGENT 925」の刻印もハッキリとクリアに美しく引き立っています。
カルティエのマストタンクは、適切なメンテナンスを行えば、何十年、そして次の世代へと受け継いでいける素晴らしい名作時計です。「角が剥げて不格好だから」「黒ずみがひどいから」と、引き出しの奥に眠らせておくのはあまりにももったいないことです。
「傷はそのままで黒ずみだけを安く取りたい」という方には「15,400円(税込)の変色取りコース」もご用意しておりますが、今回のようにメッキが実際に剥がれてしまっている場合や、小傷も消してピカピカにしたい場合は、こちらの「38,500円(税込)の研磨と再メッキコース」が間違いなくベストな選択です。
福井県の店頭への持ち込みはもちろん、全国どこからでも安心してご利用いただける「配送修理(郵送修理)」も承っております。お見積もりや状態のご相談など、まずはお気軽にお問い合わせください。
▼カルティエ マストタンクの再メッキ・時計修理の詳細はこちら https://kaido-co.jp/watch-repair/