2026.06.15WATCH REPAIR
カイドージュエリーのブログへようこそ。
今回は、ヴィンテージカルティエの代名詞とも言える「カルティエ・マストタンク」の修理事例をご紹介します。
長年クローゼットに眠らせていたマストタンクを取り出した際、全体が真っ黒に変色していて「もう再メッキをしないと使えないかも…」と諦めていませんか? 実は、表面の変色がどれほど深刻に見えても、下地のゴールドメッキが生きていれば「変色取り」だけで驚くほど綺麗に蘇るケースがあります。今回はそんな見事な修理事例を詳しく解説いたします。
カルティエのマストシリーズに採用されている「ヴェルメイユ」技法は、シルバー925の地金の上に18金を厚くコーティングしているのが特徴です。 非常に贅沢な仕様ですが、地金の銀成分が経年によって表面に浮き出し、空気中の成分と反応することで「全体が真っ黒に変色(硫化)してしまう」という性質があります。
今回お預かりしたクォーツモデルのマストタンクも、一見すると重度なダメージに見えるほどの変色が生じていました。
お預かりした際、時計は長年の保管による酸化がかなり進んでいる状態でした。
本体ケース: 写真の白丸で囲んであるように、ケースの左右両サイドが完全に遮られ、紫から黒へと激しく変色してしまっています。中央の文字盤が美しいだけに、外枠の黒ずみが目立ってしまう状態でした。

裏蓋全体: 裏蓋側も深刻で、全体がどんよりとした茶褐色に変色し、ゴールド本来の輝きや、刻まれているブランド刻印が見えづらくなっていました。

一見すると「再メッキが必要では?」と思われるコンディションですが、職人がじっくり観察したところ、マストタンク特有の「四隅のメッキ剥がれ(地金のシルバーの露出)」が見られませんでした。
そこで今回は、高額な再メッキではなく、コストを最小限に抑えられる「15,400円(税込)変色取りコース」をご提案し、施工させていただきました。
当店の変色取りコースは、地金を削る研磨(ポリッシュ)は行わず、特殊な薬品を使用して酸化膜だけを優しく分解・除去するクレンジングメニューです。
本体ケース: 薬品洗浄によって表面の真っ黒な硫化膜がきれいに取り除かれ、下地に眠っていたアイボリーがかった上品なゴールドの輝きが完璧に復活しました!

裏蓋: 全体が濁っていた裏蓋もすっきりとクリアになり、「VERMEIL」や「ARGENT 925」といったカルティエの伝統的な刻印が美しく浮かび上がっています。

変色を取り除いてみると、四隅のメッキ剥がれが全く無いことがはっきりと確認できました。下地のゴールド層がしっかりと残っていたため、今回のケースでは再メッキの必要は全く無く、「変色取り」だけで十分に新品のような清潔感を取り戻すことができました。
今回の「変色取りコース」をお選びいただくにあたり、事前に知っておいていただきたい特性がございます。
日常の擦り傷や打痕はそのまま残ります 写真の白丸部分を見ていただくと分かるとおり、時計のサイドに何ヶ所か日常使いの中でついた「擦り傷や打痕(小さなへこみ)」が確認できます。 このコースは研磨を行わないため、これらのキズはそのまま形として残ります。しかし、黒ずみが消えたことでキズ自体もヴィンテージウォッチの味(風合い)として綺麗に馴染んでくれます。
「コストを抑えて、手軽にあの頃の輝きを取り戻したい」「アンティークとしての歴史を刻んだキズは残したい」というお客様には、この仕上がりが最もおすすめです。
もしも「小さな打痕や擦り傷もすべて無くして、完全にピカピカな状態にリセットしたい」という場合は、外装研磨と再コーティングを行う上位メニューがおすすめです。
時計を完全分解し、職人が地金の表面を丁寧に研磨して傷やへこみを滑らかに整えた後、通常の数倍の厚みを持つ「5ミクロン」の18金厚金メッキを施します。エッジを損なわずに、完全に新品同様の鏡面仕上げに生まれ変わらせるメニューです。
真っ黒に変色してしまったカルティエの時計も、諦めてしまう前にぜひ一度カイドージュエリーへご相談ください。下地の状態をプロの目でしっかりと見極め、お客様の時計に合った最適な修理プラン(変色取り、または再メッキ)をご提案いたします。
福井県の店頭への持ち込みはもちろん、全国どこからでも安心・便利にご利用いただける「配送修理」も承っております。まずはお気軽にお問い合わせください。
▼カルティエの時計修理事例はこちら https://kaido-co.jp/watch-repair/