2025.07.29WATCH REPAIR
フランス・パリに本拠地を構える高級ブランド「エルメス(HERMÈS)」は、1837年にティエリー・エルメスによって馬具工房としてスタートしました。ナポレオン3世やロシア皇帝といった名だたる人物たちに愛され、その名声を築いてきました。現在では、バッグやウェア、時計に至るまで多岐にわたる製品を展開し、その高い品質とデザイン性で世界中の人々を魅了し続けています。
中でも「Hウォッチ」は、エルメスの頭文字である“H”を模した独創的なケースデザインで知られており、シンプルながらも洗練された印象を与える人気モデルです。しかし、日常的に使用する中で、どうしても傷や腐食が蓄積してしまうのも事実。今回ご依頼いただいたHウォッチも、長年の使用による擦れや裏蓋の腐食が目立つ状態でした。
お預かり時のHウォッチは、四隅にメッキの剥がれがあり、細かな擦り傷が無数に見られました。また裏面にも裏蓋の境界部に腐食による傷がありました。そこで、再メッキと研磨を中心とした修復作業を行うことにしました。
まず最初に、時計を完全に分解し、ムーブメント(内部機構)と風防(ガラス)を取り外します。この分解作業は、ケースや部品を傷つけないよう慎重に行います。
続いて、ケースと裏蓋の研磨に取り掛かります。職人の手作業によって一つひとつの傷を取り除き、丁寧に磨き上げることで、まるで鏡のような美しい光沢が復元されます。この工程が、再メッキの仕上がりにも大きく影響するため、非常に重要です。
研磨が完了した後は、ケース全体に18金の5ミクロンの厚めの金メッキを施します。元々高級感あふれるHウォッチですが、金メッキによってさらに上品で華やかな印象が加わります。
一方、裏蓋はステンレス素材のため、メッキは施さずに鏡面研磨仕上げのみで対応しました。ステンレスはそのままでも耐久性があり、あえて素材の魅力を活かす選択としました。
再メッキが終わったケースに、ムーブメントや風防を慎重に取り付け、裏蓋を閉じて組み立てます。その後、動作確認を行い、全体の仕上がりと精度に問題がないかをしっかりチェックしてから、お客様にお返しします。
今回のHウォッチも、再メッキと研磨によって見違えるような輝きを取り戻しました。表面の輝きだけでなく、裏面の腐食も丁寧に除去され、美しい状態に仕上がっています。
再メッキ修理の料金は38,500円(税込)となります。今回はこのエルメスHウォッチに合ったベルトも交換させていただきました。まずはお気軽にお問い合わせください。
当店では全国から時計修理のご依頼を承っており、エルメスをはじめとする高級ブランドの修理実績も多数ございます。LINEからのお問い合わせも可能で、公式サイトに掲載のQRコードから簡単にご相談いただけます。
また、修理品の発送に不安のあるお客様のために「無料送付キット」もご用意しております。時計を安全にお送りいただける梱包資材がすべて揃っているので、初めての方でも安心です。
時計は単なる時間を知る道具ではなく、思い出や歴史が詰まった特別な存在です。どんなに傷ついていても、適切な修理を施すことで再び美しい姿を取り戻すことができます。
当店では、熟練の職人が一つひとつ丁寧に修理・仕上げを行い、お客様の大切な時計に再び命を吹き込みます。大切な時計を永くお使いいただくためにも、ぜひ当店へご相談ください。心を込めて、確かな技術でお応えいたします。