2025.09.01WATCH REPAIR
今回は、希少なエルメスのバングルウォッチの再メッキ修理をご紹介します。長年のご愛用で剥がれてしまったメッキを、熟練の職人技で美しく甦らせました。
誰もが知る高級ブランド、エルメス。その歴史は1837年、ティエリ・エルメスがパリに高級馬具工房を開いたことに始まります。
当初は貴族向けの馬具を製造していましたが、自動車の普及とともに事業を多角化。1892年には初のハンドバッグ「オータクロア」を発表し、後のバーキンやケリーといったアイコンバッグの原型となりました。
時計製造への参入は1912年。ルイ・エドモン・プシュ・エルメスが娘のために作った、馬具をモチーフにしたポケットウォッチが始まりと言われています。そして1928年にはスイスの有名な時計メーカーと提携し、本格的な腕時計のコレクションを発表。エルメスの時計は、その洗練されたデザインと上質な素材使いで、瞬く間に時計愛好家の注目を集めました。
特にレディースウォッチは、ファッションと融合した独創的なデザインが多く、今回ご紹介するようなバングルウォッチもその一つです。
今回お預かりしたのは、エルメスならではの遊び心とエレガンスが融合したバングルウォッチ。このようなデザインの時計は、単なる時間を知る道具としてだけでなく、腕元を飾るジュエリーとしての役割も担っています。
エルメスがバングルウォッチを世に送り出した背景には、1970年代から80年代にかけて高まった「ジュエリーウォッチ」への需要があります。この時代、女性たちの社会進出が進み、より個性的でファッション性の高い時計が求められるようになりました。
エルメスは、伝統的な時計製造技術と、長年培ってきたレザーやメタル加工のノウハウを融合させ、他にはないユニークなバングルウォッチを次々と発表します。特に、ブレスレット部分にエナメルやレザー、貴金属を大胆にあしらったデザインは、多くの女性たちの心を掴みました。その中でも、今回のウォッチのように、バングル全体に美しい装飾が施されたタイプは、エルメスの職人たちの卓越した技術と芸術性が凝縮された逸品と言えるでしょう。
今回お預かりしたエルメスのバングルウォッチは、長年のご愛用により、バングル部分のメッキが広範囲にわたって剥がれていました。
特に、バングル部に樹脂製の装飾が施されていたため、再メッキが可能かどうかが修理の鍵となりました。樹脂部分は熱や薬品に弱く、通常のメッキ処理ではダメージを受けてしまうリスクがあるためです。
しかし、この樹脂部分を慎重に、そして丁寧に分解することができました。これにより、金属部分のみを安全に再メッキすることが可能になりました。
修理工程は以下の通りです。
この丁寧な工程を経て、バングルウォッチは見違えるほど美しい姿を取り戻しました。
お客様にも大変お喜びいただけました。これからも大切にお使いいただけると幸いです。
エルメスのような高級ブランドの時計は、まさに一生ものです。しかし、長く愛用するためには、定期的なメンテナンスや適切な修理が不可欠です。
カイドージュエリーでは、今回ご紹介した再メッキ修理をはじめ、オーバーホール、部品交換など、幅広い時計修理に対応しております。他店で断られてしまった修理も、ぜひ一度ご相談ください。熟練の職人が、お客様の大切な時計を最適な方法で修理いたします。
思い出の詰まった時計を、これからも輝かせ続けるために、カイドージュエリーがお手伝いさせていただきます。お気軽にお問い合わせください。