2021.04.04WATCH REPAIR
オメガのダイバーウォッチのベルトの修理です。ピンが次々と抜けるように出てきてしまうそうです。どうもステンレスのピンをロックしているパイプが緩くなっているようです。ピンとパイプを取り出して調べてみるとステンレスのパイプが腐食しています。
パイプを取り出した際には汚れで固まっているので見えないのですが、超音波洗浄器で洗ってみると、このようにパイプが腐食して穴が開いています。
昔の時計は真鍮製で表面にメッキがしてあったのですが、最近の時計はステンレスの加工技術のレベルが高くなったので、錆びないステンレスをケースやベルト、ピン、パイプに使うことが多くなっています。でもステンレスって錆びないと思いませんか?このステンレスのパイプは何故錆びたのでしょうか。
簡単に言うと「ステンレスは空気に触れていると錆びないが、空気に触れていないと錆びる」ということです。
ステンレスが腐食に対して強いのは、表面に独特の保護皮膜が形成されるからです。この皮膜は空気中の酸素が触れている間は優れた耐食性があり錆を発生させません。しかしステンレスの表面が汚れてくると、酸素との接触が妨げられるので錆が発生す
ることがあります。従って、ステンレスは「錆びない」ものではなく「錆びにくい」金属と言えます。このベルトは長年の汚れがパイプとピンの隙間に付着して空気に触れない状態だったんですね。
またステンレスは塩分が付着すると錆びやすくなります。このダイバー用の時計のように海に潜ったり、魚釣りで海水が付着するとさらに錆びやすくなります。
このオメガのダイバーの場合は大半のパイプが腐食しており、ピンも同様に痩せています。大がかりな部品の交換となりましたが、購入時に近い状態になったので当面は大丈夫かと思います。
作業内容 : ベルトのパイプとピンの交換
修理費用 : 1ペア1,650円(税込)×本数
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