2025.12.12WATCH REPAIR
カイドージュエリーの時計修理ブログへようこそ。
今回は、根強い人気を誇るタグ・ホイヤー S/el(セル)、特にゴールドコンビのモデルの修理事例をご紹介します。長年の愛用で生じたメッキの剥がれやブレスレットの溶接剥がれを完璧に修復し、時計を新品時の輝きへと蘇らせました。
お手持ちのS/elの修理をお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
お客様からお預かりしたのは、精悍なグレーダイヤルにゴールドコンビのベゼルとブレスレットが特徴的なタグ・ホイヤー S/elのメンズモデルです。


メッキの剥がれ(金部分): ベゼル、リューズ、そしてブレスレットのゴールドパーツ全般にわたり、メッキが擦れて地金が見えている状態でした。特にブレスレットの摩耗が目立ちます。
ブレスレットの破損: バンドのバックル部(クラスプ)の溶接が剥がれ、使用できない状態でした。
この時計の美しさを取り戻すため、以下の工程で丁寧に修理を行いました。



時計の分解と準備: まず、時計本体を完全に分解し、メッキを施す必要のある金色のパーツ(ベゼル、リューズ、ブレスレットパーツ)を取り外します。
パーツの洗浄・研磨: メッキの密着度を高めるため、パーツ表面の汚れや油分を徹底的に洗浄します。その後、」研磨でメッキの剥がれや擦り傷を取り去り、艶消しの部分はヘアラインを入れます。
再メッキの実施(金メッキ): 熟練の職人が、ゴールドパーツ部分に均一で耐久性の高い再メッキを施します。新品と見間違えるほどの美しい輝きが復活しました。
溶接の補強: 破損していたバックル部の溶接をプロの技術で強固に再溶接し、再び安心してご使用いただける状態に修復しました。
組立てと動作確認: 修理・メッキが完了したパーツを丁寧に組み上げ、リューズや日付表示(デイト)の動作確認を行い、修理完了です。
| 項目 | 詳細 |
| モデル | TAG Heuer S/el (セル) プロフェッショナル 200 Meters |
| 症状 | 金メッキ剥がれ、ブレスレットバックル部の溶接剥がれ |
| 修理内容 | 再メッキ加工(全ゴールドパーツ)、バックル部溶接補強、分解・組立て |
| 修理料金 | 44,000円(税込) |
| 期間 | ※納期は状態により変動します。お問い合わせください。 |
タグ・ホイヤー S/el(S/elはSport/eleganceの略)は、1987年に登場し、アイルトン・セナなどトップアスリートにも愛用された、タグ・ホイヤーの歴史において重要なコレクションです。
この時計を一目見て最も特徴的だと分かるのは、他にはないブレスレットのデザインです。
ブレスレットの「S」字型リンク
S/elのブレスレットは、2つの「S」字型のリンクが組み合わさった、非常に独創的な構造をしています。この流れるような「S」字のリンクは、まさにこの時計のシンボルであり、「S/el」という名前の由来そのものとも言える、人間工学に基づいたデザインです。
この独特のリンクは、単なるデザインではなく、手首に吸い付くような最高のフィット感と快適な装着性を提供するために設計されました。S/elは、このブレスレットのリンク一つで、他のダイバーズウォッチと明確に差別化され、瞬時に「S/elだ」と識別できるという逸話が残されています。
今回の修理では、この伝説的な「S」字リンクパーツ一つ一つを丁寧に再メッキすることで、その美しさと価値を完全に復活させました。
タグ・ホイヤー S/elは、そのデザイン性から今なお多くのファンに愛されていますが、年数の経過とともにメッキの剥がれやブレスレットの劣化は避けられません。
カイドージュエリーでは、今回の事例のように、他店では断られてしまいがちな特殊なメッキ剥がれ修理やブレスレットの溶接修理にも対応しております。大切な時計を永くご愛用いただくために、熟練の職人が最高の技術で対応させていただきます。
S/elやその他タグ・ホイヤーの修理に関するご相談・お見積もりは、お気軽にお問い合わせください。