2025.11.04WATCH REPAIR
TAG Heuer(タグ・ホイヤー)のスポーツウォッチの中でも、一際個性的なデザインで今なお根強い人気を誇るのが「S/el(セル)」シリーズです。
今回は、そのS/elのクオーツモデルで長年お使いになるうちに、ブレスレットのメッキが剥がれてしまったというお客様からのご依頼を受け、再メッキ修理を行いました。その驚きのビフォーアフターと、S/elの魅力に迫ります。
修理品の詳細に入る前に、タグ・ホイヤー S/elがどのようにして生まれたのか、その歴史をご紹介します。このストーリーこそが、S/elが時代を超えて愛される理由です。
S/elは「Sports(スポーツ)」と「Elegance(エレガンス)」を組み合わせた造語で、その名の通り、スポーツシーンからフォーマルな場まで対応できるデザインを目指して1980年代後半に誕生しました。
S/elの最大のアイコンは、ブレスレットを構成する「S字型」のリンクです。このユニークな形状は、「人間の背骨」からインスピレーションを得たと言われています。手首の曲線に完璧にフィットするように人間工学に基づいて設計されており、当時のスポーツウォッチとしては類を見ない極上の装着感を実現しました。
S/elの名声を一躍高めたのは、F1の伝説的ドライバー、アイルトン・セナの存在です。
タグ・ホイヤーが1991年にスタートした有名なキャンペーン「#Don’tCrackUnderPressure(プレッシャーに負けるな)」の初代キャラクターを務めたのがセナでした。そして、彼がレース以外の日常でも頻繁に愛用していたのが、このS/elのクロノグラフモデルだったのです。
セナは、タグ・ホイヤーの特別モデルではなく、当時市販されていたごく普通のS/elを自らの「相棒」として着用しました。この事実は、S/elがプロフェッショナルな環境で活躍するトップアスリートにも選ばれる、信頼性と普遍的な魅力を備えていたことの証です。
S/elはその後、現行モデルの「リンク」へと進化しますが、その礎を築いたS/elのストーリーは今も語り継がれています。



長年愛用されたタグ・ホイヤー S/elのバンドは、全体にメッキが剥がれ、元の美しいゴールドが失われていました。(ビフォーの画像をご参照ください。)
カイドージュエリーでは、この大切な時計を元の輝きに戻すため、以下の工程で「5ミクロン厚 再メッキ修理」を実施しました。
メッキ修理において、最も重要なのが下地の処理です。
通常の再メッキよりも耐久性を高めるため、今回は特に厚い**「5ミクロン」のゴールド再メッキ**を施しました。
これにより、見た目の美しさはもちろん、メッキ層が厚くなることで、剥がれにくく、より長く輝きを保つことができます。
S/elのバンドは、S字リンクの中央部分は鏡面ですが、両端はつや消しのヘアライン仕上げになっています。
研磨で一旦すべて鏡面にした後、再メッキを施した上で、つや消し加工専用の工具を使い、本来のデザイン通りに再びシャープなヘアライン仕上げを再現しました。この一手間が、時計全体の質感を蘇らせます。



ご覧ください。メッキが剥がれてくすんでいたブレスレットは、まるで新品時のような輝きを取り戻しました。
(添付画像の「before」と「after」をご参照ください)
S/elの象徴であるブレスレットが復活したことで、時計全体が自信に満ちたオーラを放っています。お客様にも大変ご満足いただけました。
タグ・ホイヤー S/elをはじめ、時計のバンドのメッキ剥がれは、諦める必要はありません。
カイドージュエリーでは、高度な技術と長年の実績に基づき、お客様の大切な時計を元の美しさに戻す再メッキ修理を行っております。特にS/elのような複雑な構造を持つモデルや、金メッキの厚さ・仕上げの再現にも徹底的にこだわります。
メッキ剥がれや時計修理についてご相談がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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