カルティエマストタンクの変色取り修理のご依頼です。
カルティエのマストタンクやマストコリゼが黒く変色して困っている方がたくさんいらっしゃると思います。まずはなぜ変色するのかをご説明したいと思います。

このマストタンクやマストコリゼは本体がシルバー925で出来ており、その上にヴェルメイユという厚いメッキが施されています。このシルバー（銀）という金属は放置しておくと黒く変色してしまいます。これはシルバー（銀）が空気中に含まれる硫化水素と化学反応をして黒い硫化銀になってしまうからです。

しかしシルバー（銀）を金メッキで覆うと空気に直接触れないので変色がしないような気がします。実はシルバー（銀）は金メッキで覆われていても銀から出る「銀イオン」がメッキの皮膜を通り抜けて表に出て空気中の硫化水素と反応して表面に黒い硫化銀の皮膜を作ってしまうので、メッキが施されていても黒く変色してしまうことがあるのです。

今回のご依頼品のカルティエマストタンクです。変色は多くはないのですが全体的に変色が見受けられます。

こちらが時計を分解して変色した部品を並べたものです。ネジも変色して黒くなっています。

変色を取り去った後です。ネジの１本１本もとても綺麗になっています。

本体は変色取りの後にバフ研磨仕上げをしたので細かな擦り傷が取れてピカピカになっています。

裏蓋も変色取りの後にヘアライン仕上げをしたので細かな擦り傷が取れてとても綺麗になっています。

こちらがビフォア・アフターの写真です。見違えるように綺麗になりました。