2026.05.17WATCH REPAIR
こんにちは、カイドージュエリーです。
カルティエのヴィンテージウォッチの中でも、丸みを帯びた女性らしいフォルムで人気の高い「マストコリゼ」。 しかし、長年大切にされてきた個体ほど、避けて通れないのが「ケースの変色」です。
今回は、驚くほど真っ黒に変色してしまったマストコリゼが、職人の手によって再び息を吹き返した修理事例をご紹介します。
修理のご紹介の前に、このモデルの背景にある素敵なエピソードをひとつ。
「コリゼ」という名は、イタリア・ローマにある円形闘技場「コロッセオ」に由来しています。カルティエは、コロッセオの壮大な円形建築をデザインソースとし、その完璧な曲線を時計のケースに落とし込みました。
カルティエはかつて、エドワード7世から「王の宝石商、宝石商の王」と称えられた世界最高峰のメゾンです。そんな彼らが「古代の美の象徴」をオマージュして作ったこの時計は、単なる道具ではなく、腕に纏う芸術品。その造形美は、発表から時間が経った今でも色褪せることはありません。
さて、今回お預かりした際の状態がこちらです


本体ケースの縁や、ベルトとの接合部分などが、まるで焦げたかのように真っ黒に変色してしまっています。裏蓋についても全体的に赤黒く変色しており、王室御用達ブランドとしての気品が完全に隠れてしまっている状態でした。
マストコリゼに採用されている「ヴェルメイユ(銀の上に金メッキ)」という技法は、銀の成分が表面に影響しやすく、保管環境や皮脂によってこのような強い変色が起こることがあります。
ここまで変色が強いと「もう元には戻らないのでは?」と不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。
大切なのは、芸術品とも言えるコリゼの刻印を傷めず、かつ金層を極力残しながら変色層だけを取り除く繊細な力加減です。カイドージュエリーでは、一つひとつのパーツの状態を見極めながら、丁寧に手作業で修復を進めていきます。
修復が完了した状態がこちらです


真っ黒だったケースの縁や接合部は影も形もなくなり、コロッセオの如き柔らかな曲線が美しいゴールドの輝きを放っています。裏蓋の変色もすっきりと解消され、格式高い刻印も美しく際立ちました。
お客様からも「新品のようになった!」と大変喜んでいただける仕上がりとなりました。
「久しぶりに箱から出したら真っ黒になっていた」「恥ずかしくて着けられない」と眠らせているカルティエの時計はありませんか?
変色の程度が強くても、適切な処置を施せば、また毎日着けたくなるような輝きを取り戻すことができます。福井市にあるカイドージュエリーでは、遠方からのご相談も承っております。
大切な時計の「若返り」を、ぜひ私たちにお手伝いさせてください。
時計の変色取り・修理のご相談はこちらから https://kaido-co.jp/watch-repair/